9月13日 ビットコインETF資金流入と要点

▽ 要約

ETFフロー:BTC6.42億ドル、ETH4.06億ドル流入
マクロ:FOMCは9月利下げ再開の公算、週後半決定
レギュレーション:韓国が暗号通貨企業をベンチャー認定
プロトコル:MKR→SKY移行は9/18期限、逾期で罰則

投資家の最大関心は資金の流れと規制の方向であり、本日はビットコインETF資金流入が続く中、韓国の規制緩和やMKR→SKY移行期限、FOMC利下げ観測が重なったため、市場の支配テーマは「資金流入+制度整備」と整理できる。読みどころは、流入の内訳・政策の発効日・個別プロジェクトの実務リスクを解説する。

ETFフローと市場の現在地

資金が連続流入するため、現物ETFは価格弾力と需給のタイト化を同時に生み、短期のボラ抑制と中期の押し目限定要因となった。
さらに、BTC現物ETFは9月12日(米東部)に6.42億ドルの純流入となり5日連続のプラス、最大はFidelity FBTCの3.15億ドル、次点はBlackRock IBITの2.65億ドルだった。ETH現物ETFも同日に4.06億ドルの純流入で4日連続のプラスとなり、Fidelity FETHが1.68億ドル、BlackRock ETHAが1.66億ドルを吸収した。ETF残高はBTCで1,531.78億ドル、ETHで303.52億ドル規模に達し、時価総額比は各6.62%、5.38%まで上昇している。

ソラナの「財庫化」が示す需給

エンティティ17社のSOL財庫が合計1,173.9万SOL(時価28.4億ドル、総供給の2.04%)に達し、そのうち約58.5万SOLがステーク(平均利回り6.86%)されているため、流通圧力は相対的に低下した。

成熟化する投資家心理

株式・金の高値更新に焦燥せずBTC保有に忍耐が必要との見解が示され、短期相関より通貨劣化ヘッジの長期価値が強調された。

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規制・政策とマクロの接点

韓国は9月16日に仮想資産関連を「制限業種」から外すため、ベンチャー認定や政策金融のルートが回復し、国内起業と投資の再起動が見込まれる。
中国では電子単証の適用拡大に合わせ、金融機関がデジタル人民元など新決済での越境活用を探ることを促され、決済・貿易実務のデジタル化が一段進む。
来週は「スーパー中銀ウィーク」で、米FOMCは9月会合での25bp利下げ開始を市場が高確率で織り込むため、暗号資産のリスク許容度とドル流動性に直接の影響が及ぶ。

政策論点—サマーズの示唆

サマーズ元米財務長官は、ステーブルコインが米国債の純需要を大きく押し上げるとの主張に懐疑的であり、規制の要諦は「取り付け抑止と匿名取引の禁止」にあるとした。

企業・プロジェクト動向

実需と開示を伴う枠組みが評価される一方で、上場やRWAの実装には監査透明性が厳しく問われるため、投資家はキャッシュフローのオンチェーン証跡を重視すべき局面となった。
ブロックチェーン融資のFigureはNasdaqに上場し、時価総額は66億ドル超で資金調達7.88億ドル、24年売上3.41億ドル・純利益1,992万ドル、25年上期売上1.91億ドル・純利益2,938万ドルを開示した。他方、DefiLlama創業者はFigureの「120億ドルRWA」主張のオンチェーン裏付けに疑義を呈し、法定通貨中心の実務である点を指摘した。
香港では周六福(Chow Tai Fook)系が高盈証券への出資でデジタル資産事業を共同拡張、越境決済や貴金属・資本市場のリソース統合を掲げた。

ステーブルとパブリックチェーンの再編

Circle「Arc」やStripe主導「Tempo」など、ステーブル発行体が自前チェーンを志向し、決済最適化とコンプライアンスを前提とした“清算レイヤー”化が進むため、汎用チェーンはDAppsとイノベーション領域で補完関係を強める。

Tether USATやPolymarket動向

Tetherは米準拠のUSAT立ち上げを示し、発行・保管にAnchorage/Cantor Fitzgeraldを配した。Polymarketは米国回帰と新規調達を模索し、評価額は最大100億ドル観測が出た。

Ethereumの10倍スケーリング

VitalikはL2を軸に分散性・安全性を維持しつつ、来年の10倍スケーリングを公言したため、手数料低下とインターオペラビリティ改善への期待が強い。

期限が迫るガバナンス—MKR→SKY移行

移行期限は9月18日で、ガバナンス承認次第で9月22日から逾期移行に1%のSKY減額が四半期ごとに拡大し得るため、保有者は早期対応が合理的となった。

▽ FAQ

Q. BTC現物ETFの純流入は続いている?
A. 9月12日(米東部)に6.42億ドルで5日連続。FBTCが3.15億ドル、IBITが2.65億ドル。

Q. ETH現物ETFの直近の規模は?
A. 9月12日に4.06億ドル流入で4日連続。総残高は303.52億ドル、比率5.38%。

Q. 韓国の規制緩和はいつ効力発生?
A. 2025年9月16日施行。仮想資産関連の「制限業種」指定が解除される。

Q. MKR→SKY移行の逾期ペナルティは?
A. 9月22日から1%減額が四半期ごとに拡大し得る。9月18日の期限内移行が推奨。

Q. 香港の新たな動きは?
A. 周六福系が高盈証券へ出資し15%間接保有。越境決済・貴金属でデジタル資産を拡張。

■ ニュース解説

ETFへの資金が継続流入したため需給はタイト化する一方で、韓国の規制緩和と中国の電子単証・デジタル人民元の推進が制度面の追い風となり、来週のFOMC利下げ開始観測が金融環境の緩みを強める可能性がある。
投資家の視点:①ETF残高・純流入のトレンド(発行体別)を日次で追い、押し目の厚みと回復力を把握する。②規制発効日(韓国9/16、MKR→SKY 9/18)と実務リスク(逾期ペナルティ、KYC/決済網の変更)をカレンダー化。③企業開示はオンチェーン裏付け(資産・キャッシュフロー)を必ず横断検証。④FOMCのパス(25bp×複数回の蓋然性)に応じてドル・長期金利感応度の高い銘柄エクスポージャーを調整。

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:PANews