2月28日 暗号資産市場:高相関とビットコインETF

▽ 要約

市況:2026-02-27確定日次で主要5銘柄が下落
相関:0.92〜0.99で分散が効きにくい
需給:ETF純流入が短期の下支え
制度:国内の金商法化とMiCA移行を監視

主要銘柄は下落し相関が高止まり、ETFフローと制度変更が次の値動きの説明変数になった。

unnamed 23

暗号資産は「夜間に動いて朝には景色が変わる」一方で、日次データや制度ニュースは翌日に効いてくることが多い。2026-02-28付の本稿では、2026-02-27の確定日次を起点に、ビットコインETFのフロー、国内外の規制、機関投資家の動きを同じ時間軸で解説します。

市況総括(価格・フロー・センチメント)

2026-02-27確定日次では主要5銘柄が揃って下落し、相関の高さが“同時安”を強めた。

主要銘柄はBTC・ETH・SOLを中心に下押しが優勢だった。下表は2026-02-27の終値相当と24時間変動率で、ETH(-5.08%)とSOL(-5.49%)が相対的に大きく振れた。

銘柄終値(Price)24時間変動率
BTC65,548.5-2.87%
ETH1,924.55-5.08%
BNB611.55-2.26%
XRP1.3485-3.85%
SOL81.168-5.49%

相関の高さは「個別材料が効きにくい地合い」を示す。2026-02-21→2026-02-27の終値リターン相関は概ね0.92〜0.99で、BTC—ETHは0.99と同方向に動きやすい状態が続いた。銘柄分散だけでリスクが落ちにくいため、損失許容額とレバレッジ、現金クッションの設計が先に来る。

需給面では、現物ETFのフローが再び説明変数として浮上した。データ集計では米国上場の現物ビットコインETFが直近3営業日で$1.1B(約1,700億円)超の純流入となり、2026-02-25単日でも$506.5Mの流入が観測された。中心はブラックロックのIBITだったとの整理もあり、短期需給の温度感を測る材料になる。

SNSでは暗号資産以外のヘッドラインも同時に拡散し、リスク資産全体の心理に影響し得る局面だった。

OpenAIの$110B調達や、Anthropicの技術利用を巡る米政府機関・政治家発言(トランプ氏が利用停止を指示したとする内容)、IBM株の急落を結び付ける投稿が目立った。

また、パラマウントがワーナー・ブラザースを$110Bで買収したとする速報も流れ、真偽確認前にボラティリティを煽る情報の扱いが難しい。

規制・政策アップデート

規制論点は短期価格より取引コストとサービス継続性に効くため、投資家も把握が要る。

日本:金商法並みの枠組みへ

金融庁の検討では、暗号資産取引を第一種金商業並みの規律で捉え直す方向性が示された。

議論の核心は、暗号資産の「流通性・投資性」を踏まえたルールの格上げだ。検討資料では、暗号資産の売買等を業として行う場合に第一種金融商品取引業と同様の枠組みを適用すること、現状は自主規制に委ねられている普遍的な規律を法令レベルへ引き上げることが整理されている。投資家にとっては、広告表示や説明水準の引き上げと引き換えに、取扱い方法・手数料構造が変わる可能性を意味する。

周辺サービスへの波及も論点になる。仲介(紹介)を金商法上の金融商品仲介業の対象とする方向性に加え、個人から暗号資産を借り入れてステーキングや再貸付で運用し返還するビジネスも、利用者保護の観点から規制対象に含める議論が示された。レンディングやステーキングを利用する場合、条件変更・停止リスクを織り込む必要がある。

欧州:MiCA移行期の論点

ESMAはMiCAの移行期間終了を見据え、事業者側の計画的なサービス縮小と投資家側の確認を促した。

ESMAの声明は、加盟国ごとに移行措置の長さが異なる点を踏まえつつ、未認可の事業者(CASP)が提供を継続する場合のリスクを指摘している。投資家目線では、取引所・カストディ事業者がMiCA下での登録・認可を得ているか、ステーブルコインの取扱いが法域判断で変わり得るかを、口座開設時だけでなく継続的に確認したい。

米国:開発者責任の線引き

米下院では、非カストディ型開発者を送金業の刑事規制から外す趣旨の法案が提出された。

法案は、無免許送金業を禁じる連邦刑事法1960条の適用範囲を「顧客資金を直接管理・コントロールする主体」に限定し、単にコードを執筆・維持する開発者を対象外とする狙いを掲げる。トルネードキャッシュやサムライウォレットの事例を背景に、過剰な萎縮を防ぐ意図が強い。DeFiの評価では、プロトコルの分散度やカストディ性といった設計要素が、法務プレミアムに直結しやすい。

企業・プロジェクト動向(機関投資家・インフラ)

銀行と証券が「取引×保管×決済」に近づくほど、暗号資産はインフラとしての色合いを強める。

モルガン・スタンレー:E*Tradeで暗号資産取引

モルガン・スタンレーはE*Trade顧客向けにBTC・ETH・SOLの提供と自社カストディを計画すると報じられた。

報道では、同社がE*Tradeを通じてBTC・ETH・SOLの取引提供を予定し、当初は外部事業者を使いながら最終的に自社開発のカストディ技術へ移行する構想も伝えられた。実現すれば「セルフカストディが前提」だった層に、証券口座の延長で暗号資産へアクセスする導線が増える一方、規約変更や出金制限などカウンターパーティ・リスクの性質も変わる。

バークレイズ:決済・預金管理のブロックチェーン

バークレイズは決済と預金管理に使う独自ブロックチェーン基盤を検討し、RFIを送付した。

報道によれば、バークレイズはステーブルコインやトークン化預金を処理できるプラットフォーム構築を検討し、複数の技術ベンダーに情報提供依頼(RFI)を送付した。狙いは24時間365日の即時決済や送金コストの削減で、早ければ2026-04-01以降にもベンダー選定が進む見通しとされる。暗号資産市場にとっては「銀行がコインを買う」より、決済レールの整備が流動性と採用形態を変える材料になりやすい。

国内:JPYSC(円ステーブル)ブランド発表

SBIとStartaleは信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」を発表し、2026-04-01〜2026-06-30のローンチを目指す。

JPYSCは新生信託銀行が「信託型の3号電子決済手段」として発行する設計で、一般的な資金移動業型にある国内送金・滞留の100万円制限を受けにくいとされる。法人間決済やトークン化資産(RWA)の決済、クロスボーダーでの利用が想定され、円建て決済の選択肢が増える可能性がある。ただし実運用は当局対応や参加企業・取引所の整備に依存するため、開始時期・利用範囲は続報待ちだ。

関連:資金決済法改正とステーブルコイン

リスク論点:救済型フォーク案と運用事故

救済型フォーク案とシード漏えいの事例は、ルール変更リスクとオペレーションリスクを同時に示した。

Mt. Gox元CEOのマーク・カルプレス氏は、2011年に盗難された79,956BTCを対象に、盗難先アドレスのUTXOを回収アドレスの署名で支出可能にする新ルールを追加するハードフォーク案を提示した。提案は即日クローズされており、実現には開発者・取引所・利用者の広範な合意が不可欠だ。救済の倫理と「台帳の不変性」をどう両立させるかは、市場の信頼コストに跳ね返る。

オペレーション面では、韓国の税務当局が押収ウォレットのシードフレーズをプレスリリース写真に誤掲載し、その直後に約$4.8M(約7.5億円)相当が移転したとする報道が拡散した。価格が落ちる局面ほどカストディと手順のミスは損失を増幅させるため、保管方法と権限設計を点検したい。

今後の注目点(投資家チェックリスト)

高相関局面では「銘柄選び」より「時間軸とフロー」で整理すると判断ミスが減る。

最初に見るべきはリスク量の管理だ。相関が0.9台に張り付く局面では、アルトを混ぜてもポートフォリオの下振れが同時に起きやすく、ポジションサイズと現金比率が最優先の調整弁になる。

次にフロー指標の位置づけを明確にする。現物ETFの純流入(直近3日で$1.1B超)や単日の大型流入($506.5M)は、短期の反発局面で「なぜ上がったか/下げ止まったか」を説明しやすいが、月次トレンドが反転したかは別問題だ。イベント(米国の制度協議期限など)と合わせ、日次・週次・月次を混同しない運用が必要になる。

制度・インフラは“遅れて効く”ため、ニュースの分類が有効だ。国内の金商法化議論やMiCA移行は制度、モルガン・スタンレーやバークレイズ、JPYSCはインフラ、ETFフローは需給という整理で読むと、短期ノイズに引きずられにくい。

▽ FAQ

Q. 相関が高い局面で何に注意すべき?
A. 2026-02-21〜2026-02-27の相関0.92〜0.99でBTC—ETHは0.99、急変時は現金比率と損失上限、レバ管理が先に来る局面だ。

Q. 現物ETFのフローはどうだった?
A. 米現物ETFは2026-02-25に$506.5M、直近3日で$1.1B超の純流入となり、ブラックロックIBITが中心とされたとの整理。

Q. 日本の規制議論は投資家にどう影響する?
A. 金融庁の2026-02-03資料は第一種金商業並みの規律を示し、仲介・貸借・ステーキングで体制整備義務も論点になったと整理された。

Q. JPYSCは何が新しい?
A. 2026-02-27発表のJPYSCは新生信託銀行が信託型3号として発行し、2026-04-01〜2026-06-30のローンチを目指す設計。

■ ニュース解説

主要銘柄が高相関のまま下落したのは、マクロのリスクオフで同時にポジション調整が進んだためだ。
一方で、ETFの純流入や大手金融機関の参入検討は需給改善の芽なので、短期と中期で読み分けたい。
投資家の視点:高相関局面は「当てに行く」より損失上限と流動性を守り、制度変更とインフラ整備が実需に繋がるかを継続観測する。

※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

(参考:SBIホールディングス