▽ 要約
市況：BTCは$88,000台、24h清算$268M。
フロー：米国現物ETFは週間で大幅流出。
テーマ：貴金属急落と投機資金の回転。
注目：予測市場とPerpsの拡大、詐欺も増加。
BTCは$88,000台、ETF流出と貴金属急落でリスク管理が優先され、予測市場やPerpsへの資金移動が目立つ。
市場は年末に向けて何を材料に動くのか。結論は、ビットコインETFの資金流出が上値の重しになる一方、予測市場やPerpsなど短期決着型の投機に資金が回りやすい点だ。本稿は価格・政策・プロジェクトを一括で解説します。
市況総括
BTCは$88,000〜$90,000台で推移し、週次のETF流出と清算増が短期の不安定さを示した。
価格・清算
短期では清算が増え、上下どちらにも振れやすい状態が続いた。
2025-12-29はBTCが一時$88,009まで上昇し、24時間の清算は$268M（ロング$147M、ショート$122M）と報じられた。銘柄別ではBTCが$94.47M、ETHが$61.56Mの清算とされ、レバレッジ調整が中心だった。
ETHは$2,700〜$3,100に17.9M ETHが集中し、$2,700が主要な支持帯として意識されている。11月下旬の大口買いが残っているとの見立てもあり、下げ局面ではこの帯の攻防が注目点になる。
フローとセンチメント
現物ETFの週次流出が続き、短期のリスク許容度は改善しきれていない。
米国のBTC現物ETFは直近1週で純流出$782M、特にIBITが-$435Mの流出とされた。ETH現物ETFも$102Mの流出が示され、反発局面でも資金が戻りにくい構図が残る。
恐怖・強欲指数は24と「恐怖」水準で、反発を“死猫反弹”と捉える声も出ている。強気目線では$112,000や$130,000を想定する見方もあるが、フローの裏付けが当面の焦点だ。
貴金属急落とクロスアセット
貴金属の急落は、年末のポジション解消がリスク資産にも波及しうることを示す。
金-3%、銀-7%、プラチナ-12%、パラジウム-15%といった全面安が伝えられ、銀は一時$84/ozの高値から$78/oz近辺へ急落した。先物証拠金の引き上げや短期の利益確定が背景とされ、2026-01-01の銀輸出許可制度など供給面の論点も残る。
規制・政策アップデート
2026-01-01を睨んだ通貨政策と銀行規制が進み、暗号資産は「周辺資産」としての管理色が強まる。
中国は2026-01-01に始動する枠組みとして、デジタル人民元ウォレット残高に利息を付け、価値尺度・価値貯蔵・跨境支払機能を強化する方針を示した。利息付与は銀行の資産負債管理と接続する設計で、民間決済との競争軸も変わり得る。
香港金管局は2026-01-01にバーゼル委員会基準の暗号資産資本規制を全面実施し、BTC・ETH・ステーブルコイン・RWAまで対象に含める。銀行の自己資本コストが明確化されるため、プロダクト提供の条件やリスクウェイトが注目点となる。
欧州ではMiCAに沿う合規が進み、アイスランドは2021年以降の新規採掘許可凍結と2024年のMiCA全面実装を経て、ライセンス主体によるサービス型イノベーションに軸足を移した。低廉な再エネ電力があっても、電網制約と規制が「無制限な採掘」を許さない例といえる。
2025年はデジタル資産が「主権融合元年」と評され、米国のビットコイン戦略備蓄やGENIUS法によるステーブルコイン枠組み整備が転機になった。SolanaやXRPなどの現物ETF承認、Bybitの$1.5Bハッキング、2025-10-11の急変動による大規模清算も、制度とリスクが並走した一年を象徴する。
企業・資金調達・プロジェクト動向
取引インフラは手数料分配とUXで差が出ており、ウォレットは「入口」から「取引機能」へ踏み込んでいる。
Hyperliquid接続競争
ウォレットの接続は収益機会だが、取引量の偏在がROIを決める。
HyperliquidはBuilder FeeとReferralで接続先に追加手数料を分配し、MetamaskやPhantomなどが永続取引機能を実装した。全アドレス約110万のうち上位5%が出来高とOIの90%超を占め、0.23%（約500人）がOI$5.4Bの70%を握るとされる。
接続方式はAPI直結と只読ノード自前運用に分かれ、限流やデータ整合性、ストレージコストが体験と収益の両面で課題になる。公式アプリ提供が進めば第三者接続の価値が薄れるため、差別化は自動取引やアラートなど周辺機能に寄る。
DEX・トークノミクス・アップグレード
供給設計と性能向上が、年末の材料として並列に進む。
Solanaでは年内のDEX現物出来高が$1.7Tを超え、取引量の50%以上がアービトラージ由来と分析されている。市場全体で流動性が薄い局面ほど、裁定とLPの比率が高まりやすい点は留意したい。
Ethereumは2026年にGlamsterdam（年央）とHeze-Bogota（年末）のアップグレードが論点で、並列処理やガス上限拡大（60M→200M-300M）など性能面が焦点だ。FOCILなど検閲耐性やプライバシー関連提案も並行し、設計の優先順位が問われる。
供給面ではPolkadotが2026-03-14から年インフレを約3.11%へ下げ、新規発行を段階的に抑える予定とされた。短期ではLighterが2025-12-29にTGEを予定し、総供給の25%をエアドロップに回す計画が示された。
資金調達と配布イベント
資金調達とエアドロップは小口資金の受け皿だが、期限管理が不可欠だ。
SocialGood Inc.は約$5.63MのBラウンドを発表し、Brevisは2025-12-29〜2026-01-03 06:00 UTCで資格確認・登録を受け付けるとした。年末年始は処理が遅れやすく、公式手順の確認が実務リスクとなる。
投機マネーの行き先とリスク
値動きが鈍い局面でも、確率取引・ミーム・詐欺が同時に拡大するのが2025年末の特徴だ。
予測市場：出来高増と“賢いお金”
PolymarketとKalshiは暗号資産が低迷する中でも出来高を伸ばし、2030年に向けた拡大期待が語られている。
Polymarketは2025-10-11に日次出来高$94M、Kalshiは同日に$200M超に達したとされ、両者の累計取引は約$38.5B規模と整理された。2026年のFIFAワールドカップを触媒に2030年「$1T級」を見込む予測も提示されている。
裁定戦略の多くは「Yes+No<1」の数学だけでは完結せず、プラットフォーム間の判定条件差や流動性、情報戦に依存する。コストとスリッページを含めた期待値計算が実務面の差になる。
リスク：オラクル操作と判定ゲーム
予測市場の最大リスクは、勝負の対象が「事実」ではなく「裁定プロセス」に変質する点だ。
PolymarketはUMAのOptimistic Oracleを採用し、2025-07に「ゼレンスキー氏が7月前にスーツを着たか」を巡り、投票構造が約$2Mの損失を生んだ例が挙げられた。2025-08にはMOOV2としてホワイトリスト等を導入したが、集中投票や情報戦の余地は残る。
ミームと個人トークン：政治と暗号の接続
誤字「learing」は、SNS拡散→政治参加→ミーム化→オンチェーン収益化の連鎖を可視化した。
米国ではNick Shirleyの投稿が注目を集め、JD VanceやElon Muskが反応した流れの中で、「learing」を冠したSolana上のトークンが作られたと報じられた。本人もBase上でクリエイタートークン$thenickshirleyを発行し、時価総額が一時$9M超に達したとされる。
投機の裾野拡大は若年層の「投機の常態化」と結び付けて語られ、生活不安や階層固定への反応として短期的なリターンを求める行動が強まるとの整理も出た。投資家視点では、熱量が急騰・急冷しやすい市場として位置付けられる。
セキュリティ：$105のデータと拡張機能リスク
不正は低コスト化し、個人のオペレーションミスを狙う傾向が強い。
暗網では盗難に関する詳細データが$105で売買される事例が示され、2025-01〜2025-09の分析では資格情報が88.5%、個人情報が9.5%、カード情報が2%を占めた。大量メールと偽サイト、Telegramボット、管理パネルを組み合わせる産業化が前提になっている。
Trust Walletはブラウザ拡張の事案で約2,596ウォレットの影響を確認し、Flowは攻撃後の修復テスト段階に入ったとした。薄商いでは小さな事故が連鎖しやすく、権限付与と署名確認は優先度が上がる。
▽ FAQ
Q. 米国のBTC現物ETFの資金フローは？
A. 米国では直近1週のBTC現物ETFが純流出$782M、IBITが-$435Mとされ、反発局面でも資金戻りが限定的だった。
Q. デジタル人民元の利息付与はいつ始まる？
A. 中国人民銀行は2026-01-01からデジタル人民元残高に利息を付与し、価値貯蔵・跨境決済を強化する枠組みを示した方針だ。
Q. 予測市場の出来高はどの程度まで伸びた？
A. Polymarketは2025-10-11に$94M/日、Kalshiは$200M/日超とされ、累計約$38.5B規模まで成長した。
Q. Hyperliquid接続が「儲かりにくい」とされる理由は？
A. Hyperliquidは上位0.23%（約500人）がOI$5.4Bの70%を握り、散戸導入では手数料収益が伸びにくいとされた。
■ ニュース解説
週次のETF流出と清算増が重なるため、年末の価格は材料次第で振れやすい。
一方で規制整備と取引インフラの競争が進むので、成長テーマとリスク要因が同居している。
投資家の視点：需給は週次フローと清算の水準で確認し、予測市場は判定条件・オラクル設計まで含めてリスクを把握したい。ウォレット周辺の事故が増えているため、権限管理とフィッシング耐性を運用面で点検することが重要になる。
※本稿は一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄・金融商品の売買を推奨するものではなく、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
（参考：PANews）
