【要約】
・Strategy社が新たに4,020枚のビットコイン(BTC)を購入、年初来の年化リターンは16.8%
・巨鯨投資家James Wynnが約6,805万ドル相当のBTCロングポジションを再度開設
「四年一度の半減期」だけでは捉えきれない、4つの並行サイクルが形成されつつある
・ビットコインが過去最高値を更新したのち、注目すべき4大要因:
1.強力なビットコイン現物ETF資金流入
2.「ビットコイン2025」カンファレンス開催
3.FTXによる50億ドル規模の還付
4.米欧貿易交渉の行方
はじめに
ビットコイン(BTC)市場は2025年に入り、大手企業や巨額投資家の動きが活発化しています。これまで「四年に一度の半減期を基軸とする値動き」という見方が多かった一方、最近では機関投資家の参入や複数の新興トレンドが加わり、より複雑なサイクルが同時並行で進行する可能性が指摘されています。以下では、最新のトピックを整理しながら、ビットコイン市場が直面する新たな局面について詳しく見ていきます。
Strategy社の追加買い増しと投資パフォーマンス
かつてMicroStrategyの名称で知られたStrategy社は、2025年5月19日から25日にかけて約4.271億ドルを調達し、その資金で4,020枚のビットコインを追加購入しました。平均買付価格は1BTCあたり10万6,237ドル。これによって同社の保有総数は58万250枚、総投資額は406.1億ドルに上ります。平均コストは1BTCあたり6万9,979ドルと発表されました。
注目すべきは、同社のビットコイン投資が年初来で16.8%の年化リターンを達成している点です。機関投資家の積極的な買い増しは、ビットコインがこれまで「投機対象」とみなされがちだった状況を変化させ、企業やファンドのポートフォリオに組み込む資産としての地位を確立しつつあることを示唆します。
巨鯨James WynnのBTCロングポジション
もう一つの注目点は、巨鯨投資家として知られるJames Wynnが再度大口ロングポジションを開設したことです。現在のポジションは620.2127BTC(約6,805万ドル相当)で、開設価格は10万9,715ドル、清算価格は10万2,430ドルと報告されています。同投資家は以前にも大規模なポジションを取り、マーケットに大きな影響を与えてきました。
このような巨額のポジションが示すのは、短期的な価格変動を狙う投資家だけでなく、長期的な上昇を確信するプレイヤーが依然として市場に存在している事実です。James Wynnの動向は往々にして市場センチメントに反映されやすく、ロングポジション再開は投資家心理を支える要素の一つとなるでしょう。
新たな牛市のパラダイム:4つの並行サイクル
従来は「半減期を起点とする4年サイクル」がビットコイン市場の通説でした。しかし最近の議論では、異なる4つのサイクルが同時に進行しているという分析が注目を集めています。
1 ビットコインの「スーパーサイクル」
ビットコインは「機関投資家による長期保有」が増えたことで、散発的な急騰・急落から、より安定的に価格が推移するスーパーサイクルへ移行しつつあると言われています。Strategy社のような上場企業やETFなど、巨額資本の参入でボラティリティは抑制される一方、長期的な上昇トレンドが続く可能性が高まっていると考えられます。
2 MEMEトークンの短期波サイクル
技術的な裏付けを必要とせず、注目度や話題性で短期間に資金が流入する「MEMEトークン」は、今後も一定の投機マネーを呼び込みそうです。ただし、今では専門チームや大口投資家が積極的に参入しており、一攫千金を狙う個人投資家にとってはハードルが上がっているとの指摘もあります。
3 技術系プロジェクトの長期サイクル
Layer2拡張やZK技術、AI関連のインフラなど、本質的な技術革新を伴うプロジェクトは、実用化に2〜3年を要する長いサイクルで推移します。初期段階で過大評価されやすい一方で、「死亡谷」ほどの低評価から一転、成功が見え始めた途端に価値が急伸する可能性があり、長期目線での投資機会として注目されています。
4 小さなブームの短期サイクル
RWA(Real World Asset)やDePIN、AI Agentなど、1〜3カ月単位で切り替わる小型のブームも市場を席巻しています。テーマが生まれてから資金が集まり、話題がピークを迎えたら一気に撤退するという高頻度の資金回転が見られ、投資家は「先行して仕込み、FOMO頂点で利確する」という基本戦略を取ることが求められます。
ビットコイン最高値更新後の4大注目要因
ビットコインは2025年に入り、一時的に11万ドルの大台を突破して史上最高値を更新しました。今後の動向を占ううえで、以下の4点が重要なカギを握るとされています。
1 現物ETFへの強力な資金流入
2025年5月以降、ビットコイン現物ETFの流入額が顕著に増加し、一部の日では1日あたり6億ドルを超える流入も記録しました。イーサリアム現物ETFにも大きな資金が入りつつあり、市場のリスク許容度が高まっていることを示唆します。
2 「ビットコイン2025」カンファレンス
5月27日から29日にかけて、米国ラスベガスで「ビットコイン2025カンファレンス」が開催されます。米国副大統領JD Vance氏やStrategy社のMichael Saylor氏、さらには政治的に影響力のあるトランプ一族なども参加予定です。過去のカンファレンスにおいても、有力者の発言を契機とした価格変動が見られたため、今回も注目を集めています。
3 FTXの50億ドル規模還付
破綻したFTXが5月30日から第二次の大規模返済を行う予定で、総額は50億ドル超とも報じられています。返済は現金で行われる見込みのため、この資金の一部がビットコインなどの暗号資産に再投資される可能性があります。短期的には市場の流動性向上が期待されます。
4 米欧の貿易交渉動向
トランプ政権による欧州連合(EU)製品への関税が強化されるか否かが懸念されていますが、5月26日に期限を7月9日まで延長する方向で合意。追加関税の猶予ができたことで、市場はひとまず安定的にリスク資産へ資金が向かいやすい状況となっています。ただし、今後の交渉次第では再び不透明感が高まり、ビットコインを含むリスク資産が影響を受ける可能性も否定できません。
ニュースの解説
今年に入り、ビットコインを取り巻く環境は企業や機関投資家の動向、技術革新、政治・経済情勢によって大きく変化しています。Strategy社の追加購入とJames Wynnのロング参入は、依然としてビットコインが「長期投資先」として魅力を失っていない証左といえるでしょう。また、単純な「四年サイクル」説に代わり、複数の投資手法やトレンドが同時進行する「4つの並行サイクル」論が説得力を増してきました。
さらに、現物ETFへの資金流入や大規模カンファレンス、FTXの返済をはじめとする各種イベントが重なり、ビットコイン価格は市場の流動性と投資家の心理に合わせて柔軟に動く局面に入っています。米欧貿易交渉の行方などマクロ経済的な要因も絡み合い、今後もビットコインの価格推移から目が離せない状況です。こうした多面的な要素を踏まえつつ、投資家は慎重な情報収集とリスク管理を徹底する必要があるといえるでしょう。