ビットコインが史上最高値を更新:11万ドル突破の背景と今後の展望

【要約】
・ビットコインが11万ドル超の史上最高値を更新
・機関投資家や長期資本が買い支え
・ETFや企業の積極的な動きも牽引要因
・過去の“ピザ”取引エピソードが再注目
・今後の価格予測や市場展望が話題に

ビットコインが11万ドルの史上最高値を突破

暗号資産(仮想通貨)市場の代表格であるビットコインは、2025年5月22日朝に初めて11万ドル(約110,000ドル)の大台を超え、これまでの最高値を更新しました。Coingeckoが提供するデータによれば、24時間内の上昇率は3.5%で、現在は110,505ドル前後で推移しています。

今回の上昇について、多くの専門家は「投機的な個人投資家の動きよりも、機関投資家や長期資本が主導している点が特徴的だ」と指摘しています。例えば、Presto ResearchのアナリストMin Jungは「StrategyやMetaplanet、Twenty One Capitalといった企業の大規模買いが、ビットコインの価格を押し上げる重要な要因になっている」と分析しています。

機関投資家の動向

大手企業や金融機関からの資金流入は、今回の急騰を支える大きな柱となっています。特に、Strategy社は新たに7,390枚のビットコインを購入し、その総保有量を576,230枚にまで拡大。Vivek Ramaswamyが共同設立したStrive Enterprisesは、Mt.Goxの資産に含まれるビットコイン7万5千枚を用いて「ビットコイン金庫」を作る計画を進めているといわれています。

さらに、OKXアメリカ法人のCEO Roshan Robertは「企業による積極的な暗号資産導入だけでなく、ETF関連の資金流入が今回の上昇を後押ししている」とコメント。実際、SoSoValueの最新データでは、直近一週間で比特コインの現物ETFに15億ドル以上が流入したとされ、ETF全体の資産総額は1,290.15億ドルに達しました。

過去のサイクルから読み解くビットコイン

ビットコインは、その半減期(マイニング報酬が半減する約4年周期)に合わせて大きく価格が変動する傾向があります。2017年や2021年には大幅な高騰とその後の深い調整を繰り返しました。

しかし、今回の上昇局面は「量的金融緩和(QE)の再開」や「ビットコイン主導のドミナンスが70%付近まで達する」といった特定の条件が揃わない限り、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)へ資金が分散して再び“山寨コイン(アルトコイン)の季節”が来る可能性は低い、と見るアナリストもいます。現状、ビットコインの市場支配率は63%前後で推移しており、さらなる変動が注目されます。

ピザを巡る伝説~10,000BTCで買った思い出

ビットコインといえば、2010年にプログラマーのLaszlo Hanyecz氏が10,000BTCを使い、2枚のピザを購入した「ビットコイン・ピザ・デー」のエピソードが有名です。
当時、ビットコインは世間でほとんど価値が認められておらず、1万枚を使ってもおよそ30ドル相当。Hanyecz氏は「自分が趣味でマイニングしたビットコインでピザを買っただけで、まるで無料のようなものだった」と語っています。

結果的に、その1万枚のビットコインは現在であれば数億ドル規模の価値に相当します。しかしHanyecz氏は一貫して「後悔はしていない」と述べており、当時は誰も将来のビットコイン価格を予想できず、何より「ビットコインが現実の商品を買えることを証明できた」という歴史的な取引として評価されています。

今後の価格予測

ビットコインが11万ドルを突破したことで、多くの投資家や専門家がさらなる上値を期待しています。過去にも渣打銀行のGeoffrey Kendrick氏や投資家Tim Draper氏、前BitMEX CEO Arthur Hayes氏などが、ビットコインが年内から2025年ごろにかけて15万~25万ドル、さらに50万ドル以上に到達する可能性を示唆してきました。

一方、BlockstreamのCEOであるAdam Back氏は「機関投資家の参入にもかかわらず、ハッシュレートや手数料などの他指標が低位である点には注意が必要」と発言。ネットワークの健全性を計る指標として、マイニングの集中度やトランザクション手数料の水準が依然として十分に高まっていないことを指摘しています。こうした点は市場の加熱感とは裏腹に、まだ成熟しきっていない部分を示すのかもしれません。

ニュースの解説

今回のビットコイン高騰は、金融市場全般のマクロ環境変化と機関投資家の買い増しが複合的に作用した結果と考えられます。ETFの資金流入が顕著に続けば、ビットコインのさらなる価格上昇を促進する可能性もあります。一方で、過去に見られた「市場の過熱からの急落」には常に注意が必要であり、ネットワーク指標の動向やマイニング分散度、マクロ経済の変動などを総合的にモニタリングする必要があります。特にビットコインの歴史を振り返ると、一見して強気トレンドが急転する事例も少なくありません。こうしたリスク管理を意識しつつ、投資家は引き続き動向を慎重に見守ることが求められるでしょう。