【バブル?】ビットコイン11.2万ドル高騰の背景

▽ 要約

マクロ緩和期待:FRB議事要旨が年内利下げを示唆し資金流入
機関の買い:ETF純流入は6月だけで40億ドル、財庫企業も拡大
長期保有圧縮:LTHが供給の74%を保持、売り圧力が歴史的低水準
技術・規制追風:GENIUS法案可決とStablecoin上場で採用加速
今後の焦点:7月CPIとFOMCで流動性ストーリーが正念場

ビットコイン11.2万ドルという史上最高値――「本当にまだ伸びるのか?」。結論から言えば、流動性期待・機関需要・長期保有の三層構造が続く限り上値余地は残る。本稿では価格急伸の要因とリスクを整理し、投資家が今読むべき指標を提示する。

米利下げ観測が流動性を押し上げた

FRB 6月議事要旨は「年内利下げの可能性」を大勢が支持と記載。市場は即座にドル安へ反応し、リスク資産全般を押し上げた。
詳細:7月11日発表のCPIを含めインフレ指標が鈍化すれば、9月以降の緩和転換が現実味を帯びる。金利先物はすでに年内2回の25 bpカットを織り込みつつあり、余剰流動性が暗号資産に波及する構図だ。

ドル指数とBTCの逆相関

DXYは上半期で50年ぶりの下落率を記録し、**「ドルの弱さ=ビットコインの強さ」**が改めて確認された。投資家はインフレヘッジとキャリー回避を同時に求め、ボラティリティを許容するBTCへ資金を移した。

ETF・財庫による機関買いが価格を牽引

6月の現物ETF純流入は40億ドルで、過去最高を更新。ブラックロックのIBITは運用残高66万BTCと、総供給の3%超を保有する規模に拡大した。
一方、上場企業による財庫戦略も急増。Galaxy調査では暗号資産財庫企業が53社に倍増し、流入額はETFを上回る勢い。TPJ(Paul Tudor Jones)は「債務貨幣時代の避難先」としてBTCをポートフォリオ中核へ据えた。

財庫買いとレバレッジ懸念

可転債調達によるBTC購入が増え、**「価格下落時の強制売却リスク」**が潜在的な下押し要因。ただし、主要債務の償還は2027年以降に集中しており短期的な流動性圧迫は限定的。

長期保有者の供給圧縮が下値を支える

ARK Investによれば、長期保有者(LTH)の保有比率は供給の74%で過去15年最高。
この供給圧縮により取引所残高は継続的に減少。歴史上、似た局面では価格が数か月間にわたってパラボリックに上昇した例がある。Glassnodeも「2017・2021年型」の強気サイクル再現を示唆。

技術革新と規制整備が需要の裾野を拡大

  • ステーブルコイン法(GENIUS法案)可決で米主要企業が独自ステーブルコイン発行を準備し、オンチェーン決済需要が拡大(出典:PANews)。
  • Circle上場によりステーブルコインのインフラ企業としての評価が高まり、エコシステム全体への資本流入が期待される。
  • DeFi・NFTに加えAI関連トークンが年初来で約80%上昇し、新たな資金循環を生み出している。

今後のリスクと注目ポイント

流動性とセンチメントが続く限り、テクニカル目標168,500ドルも射程内(出典:BitPush)。
ただし、①7月CPIの上振れ、②FOMCタカ派転換、③企業財庫のレバ清算――の三点が急落トリガーとなり得る。7月後半のFOMC前後が短期的なボラティリティ拡大局面となる公算が高い。

▽ FAQ

Q. ビットコインの最高値更新はいつ?
A. 2025年7月10日深夜、取引所平均で11.2万ドルへ到達。

Q. 価格を押し上げた主因は?
A. FRBの年内利下げ観測とETF純流入40億ドルが決定打。

Q. 長期保有者の比率は?
A. 総供給の74%がLTHに保有され、売り圧力が低水準。

Q. 企業の暗号資産財庫は安全?
A. 大半の可転債償還は2027年以降で短期リスクは限定。

Q. 次の注目イベントは?
A. 7月11日CPIと7月30日FOMCが流動性判断の鍵。

■ ニュース解説

今回の値動きは「ドル安+機関買い+供給圧縮」という典型的な強気三段ロケット。GENIUS法案やCircle上場など規制・ビジネス両面の整備が中長期需要を下支えする。一方で、短期的にはインフレ再燃や財庫企業のレバレッジ解消が価格の急変要因となるため、ヘッジ手段の併用が望ましい。

(出典:PANews,BitPush,xBank Labs