【USDT】Tether CEOが語る米ドル覇権とマイニング拡大

▽ 要約

ビットコインマイニング:年末までに世界最大マイナーへ
ドル覇権拡大  :USDTが新興国でドル流通を後押し
収益見通し   :25年利益は137億ドル超を目指す
IPO計画なし  :潤沢な内部資本で上場は不要
商品取引需要  :USDT決済を巡り商社が殺到中

Tether CEO Bankless発言は何を意味するのか。――Paolo Ardoino氏はインタビューで、マイニング・金融・コモディティを軸にTetherの次段階を語った。本稿では発言の核心と世界的反響を整理し、読者がUSDTの将来像を素早く把握できるよう解説する。

Tetherは年内に世界最大のマイナーへ

年末までにマイニング設備を急拡大する。
同社は既に複数のグリーン電源案件に投資済みで、総ハッシュレートは24年末比で3倍超へ。自社ビットコイン10万枚超を守る“自衛”と、マイニング収益の多角化が狙いだ。

グリーン電源を活用

  • 中南米の地熱・水力を中心に電源を確保
  • 欧州の分散型DC運営ノウハウも取得(出典:CoinDesk EU版)

競合との比較

公開企業ではMarathon Digitalがトップ級だが、設備増強計画ではTetherが一気に抜き去る見通し。

USDTが米ドル覇権を実務で補強

結論:新興市場でUSDTが事実上のドル現金を代替。
BRICSの脱ドル化が進む一方、USDTはスマホ一つでドル建て決済を実現する。Tetherは米国債を大量保有し、利息収入を得ながらドル需要を下支えしている。

  • 24年末の米国債保有残高:約912億ドル(IMF統計)
  • アフリカ・LATAMでのUSDT流通高は前年同月比+68%(Chainalysis)

137億ドル超の利益へ ― 高金利が追い風

米国債利回り5%台が利益を押し上げる。
24年通期利益137億ドルを記録し、25年はこれを上回るとCEOは明言(出典:Bankless)。保有外貨準備の80%超が短期米国債のため、金利高がそのまま利益に跳ね返る。

IPOは不要、資金は内部で循環

外部資本に頼らないことで機動性を維持。
アルドインオ氏は「50億ドル超を米国内再投資した」と語り、株式公開によるガバナンス制約を回避。

商品取引が“次のフロンティア”

国際商社がUSDT決済を採用し始めた。
鉄鉱石・原油・穀物を扱う大手トレーダーが、銀行決済の時間差解消を狙いUSDTに接触。USDTで受け取った資金をそのまま現地人件費に回す事例が増え、新興国でのドル化が加速している。

市場と各国メディアの反応

  • 英語圏:Bloombergは「Tetherの利益率は米銀を凌駕」と報道
  • 中国語圏:金十数据は「USDTが人民元ブロック経済を侵食」と警戒
  • 韓国語圏:コインデスク코리아は「K‑POP関連企業もUSDT建て契約へ」と紹介

ビットコイン価格は発言翌日に2%上昇、マイニング株はMarathonが+5%と連動した。

▽ FAQ

Q. Tetherはどこでマイニング施設を構築している?
A. サルバドール、パラグアイ、アイスランドなど再エネ豊富な地域です。

Q. USDTの準備資産は何で構成?
A. 短期米国債80%、ビットコイン、金、現金同等物で構成されています。

Q. 商品トレーダーはなぜUSDTを望む?
A. 銀行決済より速く、為替規制の多い国でも24時間決済できるためです。

Q. 規制面の懸念は?
A. 米議会のステーブルコイン法案次第ですが、裏付け資産の透明性が鍵になります。

■ ニュース解説

アルドイーノ氏の発言は、ステーブルコイン企業が「決済・マイニング・資産運用」を一体化するビジネスモデルへ進む兆候だ。USDTがコモディティ決済に広がれば、従来の銀行網を介さない“ドルのソフトパワー”がさらに強まる。一方で、巨大マイナー化はビットコインの非中央集権性を揺さぶりかねず、規制当局の視線も厳しくなるだろう。

(出典:Reuters Markets,Financial Times 中文,WuBlockchain要約,The BlockmBloomberg Crypto,bankless 2025‑06インタビュー)