▽要約
バックグラウンド:RIZAPが堀田丸正株30%をBakktへ売却し筆頭株主交代
取引詳細:1株99円41銭、総額約16.8億円で8月5日実行
新戦略:定款変更でビットコイン投資事業を追加予定
市場反応:発表翌日に株価+56.6%のストップ高
先行指標:Bakktは7,500万ドル調達・忠誠事業売却で暗号資産に集中
背景と取引概要
堀田丸正の親会社 RIZAPグループは 2025年8月4日、保有株の約30%(1,686万株)をBakkt Opco Holdingsへ99円41銭で譲渡すると発表し、翌5日にクロージングを完了しました。
取引額は約16.8億円で、RIZAPの議決権比率は57.26%→27.26%へ低下し、堀田丸正は連結から外れます。売却益は約6億2,300万円に達する見込みです。
RIZAPが株式を手放した理由
RIZAPは「chocoZAP」など成長事業へ資源集中したい考えで、和装卸を切り離す方針を示していました。6月には福岡のエンヴィー社へ同株数を15億円で売却予定でしたが、買い手の条件変更で破談となり、今回Bakkt案に乗り換えた経緯があります。
Bakktとは何者か
Bakkt Holdingsは2018年、NYSEの親会社Intercontinental Exchange(ICE)が設立した暗号資産プラットフォームです。
上場と事業転換
2021年10月にSPAC合併でNYSE上場(ティッカー:BKKT)後、一般向け決済アプリからB2B暗号資産インフラへ軸足を移しました。
買収・売却と資本政策
- Apex Crypto買収(2023年4月):5.8百万口座を抱える取引基盤を取得し、B2B2Cモデルを拡大。
- ロイヤリティ事業売却(2025年7月):Project Labradorへ1,100万ドルで譲渡、純粋な暗号資産企業へ転換。
- 7,500万ドル公募増資(2025年7月):資金の一部をビットコイン購入に充当する方針を表明。
ビットコイン保有の可能性
Bakktは提携条件として「ビットコインおよびその他デジタル資産への投資事業」を堀田丸正の定款に追加するよう求めています。
現時点で保有は未開示ですが、Bakkt自身が財務資金でBTCを購入する計画を示しており、堀田丸正が近い将来企業財務として暗号資産を保有する公算は大きいと言えます。
市場インパクトと株価反応
発表翌日の東京市場で堀田丸正株は前日比+56.6%の83円ストップ高を記録し、出来高も急増しました。暗号資産関連企業が老舗に出資するという材料が投機マネーを呼び込んだかたちです。
市場では「ビットコイン思惑株」として注目が集まる一方、暗号資産の価格変動リスクや規制リスクを懸念する声も強く、評価は割れています。
今後の焦点
- 臨時株主総会:事業目的変更と経営陣刷新が承認されるか
- 暗号資産取得時期と規模:初回取得額・保有方針の開示
- Bakktの追加出資や堀田丸正の増資:資本政策の行方
▽ FAQ
Q. 提携の目的は?
A. Bakktの暗号資産ノウハウで堀田丸正の収益源を多様化し、企業価値向上を狙う。
Q. 費用対効果は?
A. RIZAPは約6.2億円の売却益を獲得し、堀田丸正は新事業で成長機会を得る。
Q. Bakktはなぜ日本市場に?
A. 信頼性の高い上場企業として日本の暗号資産規制下での足掛かりを作る狙い。
Q. ビットコイン保有は確定?
A. 定款変更後に保有が可能となり、投資計画が正式に決まる見通し。
Q. 株価はどこまで上がる?
A. 投資助言ではないが、暗号資産市況と実際の事業進捗が鍵となる。
■ ニュース解説
今回の提携は「伝統×暗号資産」という異業種融合の象徴だ。老舗が資産運用益で体質改善を図る一方、Bakktは日本市場で規制順守のモデルケースを作りたい。投資家としては①定款変更が承認されるか②初回BTC取得額③暗号資産相場のトレンドを見極めたい。暗号資産は高ボラティリティ商品のため、ポートフォリオのごく一部で分散投資するなどリスク管理が不可欠である。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
(出典:us.kabutan.jp,CoinPost,札幌証券取引所)