マックハウスがジーイエットへ社名変更、暗号資産戦略まとめ

▽ 要約

社名変更:9月18日付で「ジーイエット」に転換、ビットコイン事業へ本格参入
資金調達:EVO FUND引受MSワラントで約23.5億円を新規調達
資金用途:13億円でBTC購入、10.5億円でマイニング設備投資
1000BTC宣言:ドルコスト平均法で1000BTC以上の長期保有を目標
投資家反応:株価は複数回ストップ高、希薄化リスクへの警戒も強まる

マックハウス ジーイエット 社名変更」──国内アパレルチェーンの老舗が、突如ビットコイン企業へ生まれ変わる。その狙いは何か? 本記事では23.5億円調達の内訳から1000BTC取得計画、投資家の評価、海外の成功・失敗例までを網羅し、読者がビジネス・投資の両面で得られる示唆を提示する。

社名変更の狙いと背景

業績低迷を打開しデジタル資産を軸に再成長を狙う再定義策。
マックハウスは全国250店舗の衣料品チェーンだが、2025年2月期は売上131億円・最終損失14.7億円と赤字が拡大。リアル店舗依存から脱却するため、定款に暗号資産取得・運用・マイニングなどを追加し、企業イメージを刷新した。これが「服からBTCへ」転身の核心だ。

業績低迷が導いた大胆転換

2024年2月期も営業損失9.1億円を計上し、在庫圧縮や店舗閉鎖が続く。ジーイエットは財務リザーブとしてのBTC保有を通じ、インフレ耐性と新収益源を確立すると説明している。

EVO FUNDによる約23.5億円調達の概要

段階行使型MSワラントで機動的に資金を確保。
第11回新株予約権は発行済株式の約24%に相当し、行使価額修正条項付き。既にEVO FUNDの持株比率は5.07%→3.10%へ低下しており、市場売却を伴う希薄化リスクがある。

  • 発行総額:約23.5億円
  • 行使期間:2025年8月~2027年8月
  • 資金使途:BTC購入13億円/マイニング投資10.5億円

従来の第9回ワラントで調達済み17.15億円と合わせ、暗号資産関連投資は累計40億円規模に達する見込みだ。

ビットコイン購入とマイニング投資の二本柱戦略

BTCを「買う」と「掘る」で取得原価を平準化。

1000BTC取得計画

ジーイエットは9月17日からドルコスト平均法で購入開始し、暴落局面では追加買い増しを示唆。

ゼロフィールドとのマイニング協業

国内最大手マイニング企業ゼロフィールドと包括契約を締結し、米国データセンターで実証運用を開始。年間利回り150%超を目指す。

アパレル事業とのシナジーとリスク

リアル店舗を活かしたWeb3マーケと在庫利益率改善の両立が鍵。
ジーイエットは生成AI・Web3特化ファンド「Growth & Innovation Fund」を設立し、スタートアップ投資を行う方針。ECにBTC決済を導入し、NFT連動商品で若年層を取り込む構想も公表している。

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投資家の評価と株価動向

短期的にはストップ高連発も、希薄化懸念でボラティリティ高水準。
6月12日のBTC取得計画発表直後、株価は+43.5%でストップ高。7月10日の1000BTC宣言時にもストップ高を記録。一方、MSワラント連発に伴う「死のスパイラル」リスクを指摘するレポートも増えている。

海外事例に学ぶ成否の分岐点

社名変更だけでは持続成長せず、実業シナジーが要件。

企業旧業種施策結果
Long Blockchain (米)飲料社名変更→マイニング計画株価+380%後、NASDAQ除外
Blockchain Group (香)茶葉社名変更1年で株価‑80%
メタプラネット (日)ゲーム1万BTC宣言時価総額10倍 (2023–24)
ANAP (日)アパレルBTC現物増資で1000BTC目標株価急騰後調整

成功例はいずれも「本業との融合」と「継続的な財務政策」がポイントだ。ジーイエットもアパレルDXや店舗決済連動で差別化できなければ、ロング・ブロックチェーンの轍を踏む恐れがある。

▽ FAQ

Q. ジーイエットへの社名変更はいつ?
A. 2025年9月17日臨時株主総会で承認後、18日に効力発生します。

Q. 資金調達額と使途は?
A. EVO FUND引受MSワラントで23.5億円調達、BTC購入13億円・マイニング10.5億円です。

Q. 1000BTC取得の目的は?
A. 財務リザーブとして長期的な価値保存と資産多様化を狙います。

Q. 株価への影響は?
A. 発表毎にストップ高を付ける一方、希薄化懸念による乱高下が続いています。

Q. 類似の海外事例は?
A. 米Long Blockchainや香港Blockchain Groupなど、社名変更後に失速した例があります。

■ ニュース解説

ジーイエットの動きは、日本企業のBTCバランスシート戦略加速を象徴する。取材筋によれば、国内証券会社には「暗号資産調達スキーム」の相談が急増しており、規制対応パッケージ化も進む見通しだ。投資家としては、①MSワラントの行使ペース、②BTC価格、③マイニング採算――この3点が株価のファンダメンタルズとなる。短期売買ならボラティリティ活用、中長期ならバリュエーションがBTC価格と連動する点を見極めたい。なお、本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

(出典:Yahoo!ファイナンス,CoinDesk Japan,South China Morning Post