▽ 要約
マーケット影響:NASDAQ銘柄GAMEは発表翌日一時8%上昇
ディール構造:5.15百万ドル相当の転換優先株で交換
NFT希少性:エイプ型は24体、過去770万ドル売買履歴
財務戦略:NFT担保で年6〜10%利回りを目指す
業界波及:企業による高額NFT取得の先例として注目
GameSquareがCryptoPunk #5577を株式で取得した事実は、企業財務にNFTを組み込む新潮流を示す。「企業がJPEG一枚に数百万ドル相当の株式を支払うのはなぜか?」──その答えを先に言えば、文化的希少価値と金融利回りを同時に狙う戦略投資だからだ。本稿を読めば、取引の仕組みから市場インパクト、Web3ビジネスへの応用までを一気に理解できる。
1. 取引概要とディール条件
企業初の「株式対価NFT取引」が現実化した。
GameSquare(NASDAQ: GAME)は2025年7月24日、DeFiプロトコルCompound創設者ロバート・レシュナー氏保有のCryptoPunk #5577(Cowboy Ape)を取得。対価として総額5.15百万ドルの転換優先株(1株=1.50ドル、普通株換算約340万株)を発行した。株主となったレシュナー氏は、今後GameSquareのオンチェーン財務顧問も務める。
2. CryptoPunk #5577 の希少性
エイプ×カウボーイハットの二重レア属性がコレクター垂涎だ。
2‑1 歴史的高値
NFT強気相場だった2022年2月、同Punkは2,501 ETH(当時約770万ドル)で落札された。今回の5.15百万ドル評価は、市場冷え込みを経た上でなお7桁ドル級のバリューを維持した形となる。
2‑2 ブランド適合
GameSquareの大口株主はNFLダラス・カウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズ氏。Cowboy Ape のキャラクター性は、同社ブランドと象徴的に重なる。
3. GameSquareのNFT財務戦略
NFTを担保金融のコア資産へ。
3‑1 ETH+NFTハイブリッド運用
同社は既に 12,913 ETH(約5,200万ドル)を保有。CryptoPunk #5577 を加え、パートナーDialecticと共同で固定金利ステーブルコイン借入 → 再運用を実行し、年6〜10%の利回りを見込む。
3‑2 株式トークン化の布石
レシュナー氏が率いるSuperstateの「Opening Bell」上でGameSquare株をオンチェーン化する構想も表明。株式・暗号資産・NFTの三位一体エコシステムが視野に入る。
4. 市場反応と株価動向
株価は1カ月で+72%、流動性も急増。
発表翌日、GAMEは1.44ドルまで上昇し出来高が前週比3倍に膨らんだ。投資家は「MicroStrategy × BTC」型の成長ストーリーをNFT版で期待している。
5. 業界への波及効果
企業財務にNFT導入=新たな資本流入経路。
Decryptは「上場企業が高額Punk購入を公表した初期事例」と分析。高品質NFTのフロア価格は取引直後に約8 ETH上昇し、24時間のPunks取引高は20%増加したとのデータもある。
▽FAQ
Q. CryptoPunk #5577 は誰がデザイン?
A. Larva Labs により2017年に生成。エイプ型24体中の1体。
Q. 優先株はいつ転換できる?
A. 取引完了後180日以降で、株主の請求により普通株へ転換。
Q. GameSquareのETH保有量は?
A. 追加購入を含め12,913 ETH、約5,200万ドル規模(2025年7月時点)。
■ ニュース解説
企業が株式を通貨代わりにNFTを取得したのは前例が少なく、市場は「デジタル資産を自社財務に組み込む新たなモデル」として高い関心を示している。一方で、希薄化リスクやNFT価格変動が財務に与える影響には注意が必要だ。GameSquareは長期視点で「文化的資本+金融利回り」という二面性を狙うが、実効性は今後数四半期のIR開示で検証される。
(出典:CoinCentral,AINvest,PR Newswire)