ETH現物ETF流入とETH/BTC反発、回転加速

▽ 要約

流入:ETH現物ETF流入が拡大、ETH/BTCも反発。
概要:週次29.1億ドル、日次で銘柄間の偏り。
心理:98%が含み益、鯨と短期の利確増。
危険:オンチェーン需要鈍化で回転相場が続く。

ETHがATH手前まで上昇しETH/BTCも反発した。牽引役はETH現物ETF流入の急拡大で機関フローが価格を押し上げる一方、アドレス増加や手数料などオンチェーン実需は鈍い。クジラの利確やステーキング退出の増加も重なり、短期は回転色が強まる。本稿はデータで現状と論点を解説する。

ETH/BTC反発と資金フローの現在地

ETFへの巨額流入がETHを押し上げ、ETH/BTCは2021年水準に接近したため、短期はフロー主導の相場色が濃い。
価格面ではETHがQ2+36.48%、Q3+86.12%とBTC(Q2+29.74%、Q3+11%)を凌駕し、ETH/BTCは4月の0.02割れから0.039近辺まで戻した。背景には、週次で約29.1億ドル規模に達した現物ETFの資金流入がある。

ETF資金—規模と偏り

8月15日(米東)は全体で−5,933.71万ドルだったが、ETHAは+3.38億・FETHは−2.72億と銘柄間の偏在が顕著だった。
累計ではETH現物ETFの総資産が約281.53億ドル、ETH時価総額に対するETF比率は約5.34%、累計純流入は約126.68億ドルに達する。日々のフローが価格形成に直結しており、資金の偏りは短期の相対強弱を左右する。

価格主導とオンチェーンの乖離

独立アドレスの伸びは直近2カ月で約3.1%にとどまり、手数料・オンチェーン活動も平坦なため、上昇はユーザー需要より資金要因の寄与が大きい。
需給の主導権が「実需→資金」に移った局面では、フローの反転に対する脆弱性が高まりやすい。

機関の買い越しと供給の圧縮

過去30日で純発行7.4万ETHに対しファンドとETFは約350万ETHを買い越した推計で、短期の需給ひっ迫が続いた。
この「発行<買付」環境は現物需給のタイト化を通じて価格弾性を高め、モメンタムを増幅させた。

回転局面のシグナル—利益確定とクジラ行動

供給の98%が含み益となり、クジラと短期筋の利確が増えたため、価格の押し引きが速い回転局面に移行した。
7月には実現利益が日次7.71億ドル(7日移動平均)で年初来高水準に到達、8月半ばも5.53億ドルと高止まり。8月14日には1万ETH超アドレスの実現利益が約14億ドルに達し、ICO参加者アドレス0x61b9も334.7ETH(2014年の104ドル出資由来)を10年超ぶりに移動した。短期資金は利確を優先しやすいが、長期保有者の大規模売却はなお限定的だ。

ステーキングの二極化と企業財庫化

退出待機は約78.5万ETHと過去最大級に膨らむ一方、約34.1万ETHが参入を待つため、解約と新規ステークが併存する。
価格反発率が4月安値比で約160%に達し利確動機が強まる中でも、機関・上場企業の需要がステーク維持・新規参入を下支えする。

退出キューの拡大

利確と再配分のための解約申し込みが積み上がり、退出キューは過去最大級に達した。
このボトルネックは短期の売り圧時間分散につながる一方、キュー縮小局面では再ステークや再投資の資金循環が強まる。

企業財庫(トレジャリー)の増勢

BitMineは約120万ETH(約51.2億ドル)で首位、Sharplinkは約72.88万ETH、The Ether Machineは約34.54万ETHと、企業のETH財庫化が存在感を増している。
ETFに加え企業バランスシートの買いが需給をタイト化させ、中期の価格安定化に寄与する可能性がある。

データの留意点

SoSoValue・validatorqueue・SΞR等の更新タイミング差や推計方法により、数値は改訂され得る。フロー・在庫の把握では同一系列の指標で時系列比較することが重要だ。

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反論と評価—BTC極大主義の見立て

Samson Mowは「ETH上昇はBTC回収のための短期博弈」と主張したが、ETF資金定着や企業財庫化はETHの市場機能拡大も示すため、評価は割れる。
心理的節目に近づくほど売り動機が高まるという見立ては、含み益の拡大や利益確定の増加と整合する一方、長期保有者の売却は限定的で、需給崩壊を裏付ける決定的データは現時点では少ない。

▽ FAQ

Q. ETH現物ETFの直近資金フローは?
A. 2025-08-15は全体−5,933.71万ドル、ETHA+3.38億、FETH−2.72億(SoSoValue)。

Q. ETH/BTC比率はどの水準に?
A. 0.02割れから0.039近辺まで反発、2021年半ば水準に接近しETHはQ3に86.12%高。

Q. ステーキングの退出・参入は?
A. 退出待機約78.5万ETH、参入待機約34.1万ETHと二極化、待機日数は混雑で変動。

Q. 企業のETH財庫動向は?
A. BitMine約120万ETH、Sharplink72.88万ETH、The Ether Machine34.54万ETHが上位。

■ ニュース解説

ETF流入で価格が急伸したため市場は資金主導の強気相場だが、オンチェーン需要の伸び悩みと利確増で回転が早い一方で、企業財庫化が下支えとなる。
ETHはATH手前まで上昇しETH/BTCも2021年水準に接近する中、現物ETFに週次約29.1億ドルの資金が流入したため、規制整備とプロダクト普及で機関マネーの導線が整備された。一方で短期はフローレジームとなり、フローの鈍化や偏在がボラティリティ要因となっている。

投資家の視点:ETF日次フロー(SoSoValue)、ETH/BTC、退出・参入キュー(validatorqueue)、企業財庫の増減(SΞR)をウォッチし、レバレッジやポジション期間をフロー変化に合わせて抑制・分散するのが無難。

【エアドロ】SoSoValueエポック3の概要と参加のポイント<8月5日更新>

※本稿は投資助言ではありません。

(参考:SoSoValue,Lookonchain,validatorqueue,Strategic ETH Reserve