デジタルアセットトレジャリー最新戦略

▽要約

マーケット:DATが主要アルトに買い圧を注入
カンパニー:ETH財庫“双雄”が財団を凌駕
モデル比較:BTCは「飛輪」型、ETHは「債券」型
リスク:価格連動で明暗が反転する可能性
視点:投資家は株かトークンかを見極め

「デジタルアセットトレジャリー(DAT)って結局、企業が暗号資産を買い込むだけの話?」――そんな疑問に答えるのが本記事だ。結論から言えば、DATは株式・社債・暗号資産を連動させ企業価値を増幅させる新しい財務戦略であり、ビットコインだけでなくイーサリアムやソラナにも波及している。この記事を読めば、主要企業の動向、二つのモデル、潜在リスクまで一気に把握できる。

DATとは何か

企業が社債発行や増資で調達した資金をビットコインやイーサリアムに転換し、その含み益とステーキング収益で株主価値を押し上げる仕組みがDATだ。2025年時点で100社超が採用し、94.9万枚を超えるBTCが企業財務に組み込まれている。

企業財務を変える二つのモデル

ビットコイン型:デジタル黄金と三重飛輪

まずMicroStrategy型。株式増発→BTC購入→株価上昇→再増資という三重飛輪を回し、累計62.8万BTCを蓄積した。インフレヘッジとストーリー性で長期投資家を惹きつける構造だ。

イーサリアム/ソラナ型:デジタル国債モデル

PoS資産を保有する企業は年4〜8%のステーキング利回りを得るため、保有コインがキャッシュフローを生む。BitMineとSharpLink Gamingは合わせて約105万ETHを保有し、財団を上回る影響力を持つ。

主要企業とプロジェクト

  • BitMine (BMNR):1か月で62.5万ETHを積み上げETH最大保有企業に。
  • SharpLink Gaming (SBET):Consensys等が参画し42.8万ETHを財庫化、株価は発表後4倍に。
  • MicroStrategy:BTC三重飛輪でDATの原型を確立。
  • DeFi Development Corps100万SOLを財庫化、半年で株価20倍。

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DAT戦略の利点とリスク

利点

  1. 資本効率の最大化――暗号資産上昇で自己資本が拡大。
  2. キャッシュフローの獲得――ステーキング報酬が定期収益に。
  3. 市場アクセスの拡張――株式を通じた間接ETF効果。

リスク

  1. 反身性リスク――価格下落→株価下落→強制売却の負の連鎖。
  2. 自己売買問題――一部プロジェクトでは投資家のコインを企業に注入するだけで新規買いがないケースも。

今後の見通し

今後はSOL現物ETF承認への思惑と、各国の規制枠組みが鍵を握る。香港はトークン化ガイドラインを整備済みだが、米国SECは依然として個別審査を続ける。企業財務での暗号資産比率が1%から何%へ伸びるかが、中期的な価格ドライバーになるだろう。

▽ FAQ

Q. DAT戦略で企業は何を得る?
A. 暗号資産価格上昇益とステーキング収益で自己資本とCFが拡大する。

Q. BTC型とETH型の違いは?
A. BTC型は価値保存に重点、ETH型は利回りを伴う運用型。

Q. 最大のリスク要因は?
A. 暗号資産下落時に株式・再調達力が同時に毀損する“負の飛輪”。

■ ニュース解説

本文は企業の財務イノベーションとしてのDATを整理した。現行相場ではETH・SOLが恩恵を受けやすい一方、株価・暗号資産いずれも高ボラティリティである点に注意が必要。投資家は「株式プレミアム狙い」「トークン現物狙い」かを戦略的に選択するとよい。

※本記事は情報提供であり、投資助言ではありません。

(出典:PANews