アスターネットワークの栄枯盛衰を徹底解説

▽ 要約

ヒストリー概観:2019年誕生から2025年再起策まで網羅
トークン推移:最高0.3030→最安0.0217ドルの急落を解析
コミュニティ動向:40万人超の熱狂から日次450人へ減速
企業連携:ソニー×AstarでL2「Soneium」始動し反転狙う
課題と展望:キラーDApps不足と競争激化を突破できるか

アスターネットワークの栄枯盛衰は、国内外のWeb3関係者が「なぜ急成長し、なぜ失速し、どこへ向かうのか」を考える上で格好のケーススタディだ。本稿は5つの視点で全行程を整理し、読者が今後の投資・開発判断に必要な示唆を得られるようまとめた。

栄枯盛衰をひもとく五つの視点

技術進化:EVM/WASMハイブリッドの意義

EVM互換とWASM対応の二刀流は開発者の選択肢を広げたが、WASM側は普及が遅れ差別化に直結しなかった。
2019年Dusty Network誕生から2022年メインネット稼働までにSubstrate上でEVMとWASMを両立。dAppステーキングで開発者報酬を可視化するも、WASM対応アプリは全体の1割未満にとどまる。

価格推移:データが示す市場心理

2022年4月の0.3030ドルを頂点に約90%下落し、市場心理は急冷した。
ASTR初値0.1188ドル(2022‑02)、最高値0.3030ドル(2022‑04)、2025‑07最安値0.0217ドル。22年TVLは7億ドルを付けたが、24年末には4,000万ドル台へ縮小。

コミュニティ:参加者推移と現在地

熱狂期の40万人フォロワーが24年には半減、日次アクティブアドレスは約450に落ち込んだ。
22年Discord 6.3万人/Xフォロワー40万人。24年Q3ブロックチェーン分析でアクティブアドレス450。

資金調達・提携:VC・大手企業の動向

累計4,000万ドル超のVC資金とソニー・NTTドコモ連携で資金面は盤石だが、上場先はBinance中心で米Coinbaseは未上場。
21‑22年でBinance Labsほか3,300万ドル、23‑24年で追加700万ドル。ドコモ6,000億円Web3投資計画に技術パートナー参加。

失速要因と再起策:Soneium戦略の評価

キラーDApps不足・Polkadot停滞・L2競争で失速し、ソニー連携のL2「Soneium」で一般層を狙う第二の曲線を描く。
Polkadot XCM遅延でクロスチェーン需要が想定以下、EVM互換L2(Arbitrum等)に開発者が流出。25年6月ソニーがOptimism系Soneium発表、AstarとStartaleが技術提供。

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今後のシナリオ:3つの鍵

  1. ユーザー体験の改善
    ノンカストディアルウォレットのUX向上とガスレス設計が大衆化の前提。
  2. Soneiumとの資産流通
    L2上で生まれるコンテンツ資産をASTRエコシステムに橋渡しできるか。
  3. 競合チェーンとの差別化
    日本IP×ブロックチェーンという独自ストーリーを世界市場に提示できるか。

▽ FAQ

Q. ASTRトークンの過去最高値はいくら?
A. 2022年4月に0.3030米ドルを記録しました。

Q. コミュニティ規模はどの程度減少した?
A. 日次アクティブアドレスは2024年Q3に約450まで縮小しました。

Q. Soneiumとは何ですか?
A. ソニーとAstarが共同開発中のエンタメ特化型イーサリアムL2です。

Q. 主要VCの累計出資額は?
A. 2022年1月時点で約3,300万ドル、追加分を含めると4,000万ドル超です。

Q. 最大の課題は何ですか?
A. キラーDApps不足とレイヤー2競争に勝ち抜く差別化が急務です。

■ ニュース解説

本稿はCoinDesk、日経、TechCrunch、ソニー公式リリースなど一次情報を横断し、Astarの技術・資金・コミュニティの実数値を整理した。失速要因は外部環境だけでなく独自施策の遅れも大きい。一方、Soneium戦略は日本IPの強みと大衆向けUXを兼ね備える可能性があり、今後18か月が真価を問われるタイミングとなる。

(出典:ソニーリリース,TheBlock,TechCrunch