次世代AIの覇権争いが加速:Meta「Llama 4」発表、OpenAIやCZの新構想も続々

  • 2025/4/7

要約】
・Metaが新たに多モーダル大規模言語モデル「Llama 4」を公開
・「Scout」「Maverick」の2バージョンを用意し、専門モジュール数やコンテキストウィンドウが強化
・OpenAIはChatGPT-4oの画像生成モデル「ImageGen」に透かし機能を試験導入
・CZはAIソーシャルアシスタント「X Agent」構想を提案、BNB Chainとの連携も視野
・インドにおけるChatGPTの利用者が急増する一方、収益は課題に

Metaが発表した新世代AIモデル「Llama 4」

米国の大手テクノロジー企業Metaは、最新の多モーダル大規模言語モデル「Llama 4」を正式にリリースしました。今回のリリースには「Scout」と「Maverick」という2種類のバージョンが存在し、それぞれ専門モジュール(エキスパートシステム)の構成やパラメータ数が異なります。

  • Scout:17B(170億)ものアクティブパラメータを搭載し、16の専門モジュールを活用。1,000万トークン規模のコンテキストウィンドウをサポートする点が特徴です。これにより、大量のテキストや画像を一度に処理し、多面的な分析を行うことが可能になります。
  • Maverick:128の専門モジュールを備え、画像の理解力とコストパフォーマンスに優れているとされています。Metaの資料によれば、同社はGPT-4oやGemini 2.0 Flashと比較しても優秀な成果を挙げているとのことです。

さらに、Metaは現在「Llama 4 Behemoth」という大型モデルを訓練中であり、特にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野のベンチマークにおいてGPT-4.5やClaude 3.7を上回る結果を得ていると明かしました。今後、Llama 4が各業界のAI活用をどのように変革していくのか、注目が集まっています。

OpenAIがChatGPT-4o画像生成モデルに透かし導入をテスト

大手AI企業OpenAIは、画像生成機能を持つChatGPT-4o(別名ImageGen)に対して、出力された画像に透かし(ウォーターマーク)を追加するテストを行っていると報じられました。これは、著作権やフェイク画像対策を目的とした機能とみられ、主に無料ユーザー向けの画像に導入される可能性が高いとされています。

一方、ChatGPT Plusなどの有料プランを利用するユーザーが生成した画像には、現時点では透かしは付加されない見込みです。OpenAIは今後、開発中のImageGen APIを外部開発者向けにも解放すると伝えられており、サードパーティアプリや各種サービスへの導入事例が増えると予想されます。高品質な画像生成技術をどう規制し、どのように適切に活用していくかはAI業界全体の課題となるでしょう。

CZが構想するAIアシスタント「X Agent」

暗号資産(仮想通貨)取引所BinanceのCEOとして知られるCZ(Changpeng Zhao)氏は、BNB Chainの開発者とのコミュニケーションの中で「X Agent」という新たなAIソーシャルアシスタントのアイデアを打ち出しました。

この**AI Bot「X Agent」**は、ユーザーの過去のツイートと人気トレンドを解析し、ユーザー本人の文体や口調に近い形でX(旧Twitter)に投稿を行うことを想定しています。将来的には、投稿内容の要約や自動返信、感情分析など、より高度な機能も取り入れる計画とのことです。

さらに、CZの設立したYZi Labsがこの領域のプロジェクトに対し資金提供を検討しており、BNB建てのサブスクリプション方式で収益化を図る可能性も示唆されています。SNS利用の効率化やユーザーエンゲージメント向上に寄与するかどうか、今後の動向に注目が集まります。

インドで急増するChatGPT利用者と収益面の課題

インドでは近年、ChatGPTの利用者数が急速に拡大しています。特にスマートフォン普及率の増加やIT教育水準の上昇が影響しており、ChatGPTを活用した英語学習やビジネスサポート、個人の創作活動などが盛んに行われています。

しかし、TechCrunchの報道によれば、2023年以降インド国内でChatGPTが生み出す売上は約800万ドルに留まっており、同期間にアメリカから得た3.3億ドル(3.3億ドル=3.3億×1ドル)の収益に比べると大きな開きがあるようです。月額20ドルの有料プランは、依然として多くのインドユーザーにとってハードルが高いとされ、ローカライズされた価格設定も存在していないのが実情です。

OpenAIはインドの通信大手Jioと連携し、更なる普及を目指すと報じられています。世界最大級の人口を抱えるインド市場において、「数十億ユーザーの獲得」を掲げるOpenAIがどのような戦略を打ち出すのか、今後の動きが注目されています。

ニュースの解説

今回の一連の動きを見ると、**「AIの多様化と差別化」**が大きなテーマになっていると言えます。MetaのLlama 4は多モーダル対応を強化しつつ、専門的なタスクでの優位性をアピールしている点が特徴的です。一方、OpenAIは画像生成機能に透かしを導入する実験を進めるなど、社会的課題への配慮と共に技術の汎用化を図っている印象です。

また、CZが構想中のX Agentは、BNB Chainと絡めた独自のサブスクリプションモデルで新しいビジネスチャンスを狙っています。SNS上での情報発信がさらに自動化・効率化する可能性があり、そのユースケースが拡大すればWeb3領域におけるAI活用が一段と進むと考えられます。

インドにおけるChatGPTの利用増加も、グローバル規模でのユーザー拡大を裏付ける重要な事例です。しかし、料金体系が現地の所得水準と乖離していることから、OpenAIはビジネスモデルや価格設定を再構築する必要に迫られています。こうした各社の取り組みは、AIサービスのさらなる進化と普及を後押しする一方、技術格差やデータプライバシーの課題にも繋がる可能性があります。業界全体として、ユーザーの利便性と社会的責任をどう両立させるかが、今後の大きな焦点になるでしょう。

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