音楽NFT「Revolution」とは|Graffiti6のステム生成型コレクション

2022年7月ごろ、英国のバンドGraffiti6と、ロンドンの音楽NFTプラットフォームTokenTraxxは、音楽NFTコレクション「Revolution」の販売計画を公表しました。Graffiti6の新曲「Revolution」とそのリミックスをパーツ単位に分解し、組み合わせ直して、1点ずつ違う曲とアートを持つ3,030点のNFTを生成するという企画です。

旧版の記事は機械翻訳のような文章で、メンバーの役割や名前に誤りがありました。この記事では公式ページと報道で確認できた内容に直し、この方式の仕組みと、音楽NFTを手に取るときに確かめたい権利の範囲、2026年から見た位置づけをまとめます。

Revolutionとは:曲の「ステム」を組み替えるNFT

楽曲は通常、ドラム、ベース、ボーカル、キーボード、効果音などの音をそれぞれ別のトラックで録音し、最後に混ぜ合わせて完成させます。このトラック単位の音源を「ステム」と呼びます。Revolutionは、このステムを素材にして、機械的に組み合わせを変えた「別バージョンの曲」を大量に作る仕組みです。

素材になったのは、Graffiti6の原曲と4組のアーティストによるリミックスです。公式ページによると、リミックスを手がけたのはPaul Woolford、Flux Pavilion、Calyx & TeeBee、Oden & Fatzoで、ハウス、ダブステップ、ドラムンベースと異なるジャンルの制作者が参加しました。

各NFTには、生成された1曲と、それに合わせて組み合わされたビジュアルがセットで収められます。TokenTraxxはこの方式を「TraxxStemz」と名づけ、Revolutionをその第1弾と位置づけていました。発行数は3,030点で、ブロックチェーンはEthereumです。

生成の仕組み:Boogie Machineと組み合わせの数

ステムの組み合わせを作るのは、TokenTraxxのイノベーション責任者Richard Rauser氏が開発した「Boogie Machine」という処理エンジンです。原曲とリミックスのステムを投入すると、テンポや音程をそろえながら、ランダムな組み合わせの曲を出力します。

公式のコレクションページでは、音源はドラム、ベース、エフェクト、リードボーカルなど9種類の特性(トレイト)から約200万通りの組み合わせが可能で、アートは約5万通りの組み合わせから生成されると説明されています。ステムはキーやドラム、ベースなど音楽的な性質ごとに分類され、それぞれにレア度が割り当てられています。

旧版の記事には「単語の一部分がレアリティとして割り当てられる」といった意味の通らない記述がありましたが、正しくは、ステムの種類ごとにレア度が設定され、同じ組み合わせが二度出ないように作られている、という内容です。

参加したアーティスト:旧版の誤りを訂正します

Graffiti6は、2009年ごろから活動する英国のグループです。TokenTraxxの紹介では、メンバーはグラミー賞の受賞歴を持つシンガーソングライターのJamie Scott氏、プロデューサーのTommyD氏、アーティストでイラストレーターのJimi Crayon氏の3人です。デビューアルバムは「Colours」で、Revolutionは10年以上ぶりの新曲とされていました。

旧版の記事は、TommyD氏を「グラミー賞受賞の作詞家」、Jimi Crayon氏を「作曲家のJimi Rayon」、Jamie Scott氏を「シンガー」と書いていました。紹介資料に基づけば、グラミーの受賞歴はJamie Scott氏のもので、Jimi Crayon氏はビジュアル担当です。「6Dビジュアル」とあったのも、3Dビジュアルの誤記とみられます。

TommyD氏は、カニエ・ウェストやビヨンセ、ジェイ・Zの作品に関わってきた英国のプロデューサーで、TokenTraxxの共同創業者でもあります。つまりRevolutionは、プラットフォームの創業者自身のバンドが、自社技術のお披露目を兼ねて出した作品という性格を持っていました。

背景:TokenTraxxと2022年の音楽NFT

TokenTraxxは、TommyD氏と、ParlophoneやWarner Musicの会長を務めたMiles Leonard氏らが2021年に立ち上げたロンドンのサービスです。Mixmagによると、2022年3月にはプラットフォーム内で使う独自トークン「TRAXX」を発行し、ファンがアーティストを支える側に回る仕組みを打ち出していました。

2021年から2022年にかけては、アーティストが楽曲やアートをNFTとして直接ファンに売る動きが広がり、多くの音楽NFTサービスが登場しました。レーベルを通さずに収益を得られること、転売時にも作り手へ手数料が入ることが、当時の主な売り文句でした。

その中でRevolutionは、1曲を大量に複製して売るのではなく、ジェネラティブアートの手法を音楽に応用して「1点ずつ違う曲」を作った点が特徴でした。音楽のNFTでもPFP(アイコン用画像)コレクションのような収集性を持たせようとした試みといえます。

その後:販売状況と音楽NFT市場の変化

2026年9月時点で、公式のコレクションページではRevolutionがEthereum上の3,030点のエディションとして掲載されており、筆者が確認した時点では1点25ドル、1点買うと4点付くという販売条件が表示されていました。ただし、発表当時の販売価格や、何点が実際に発行・販売されたかは確認できませんでした。

独自トークンTRAXXの現在の流通状況や、TokenTraxxの事業がどの程度続いているかについても、公式な発表や主要な報道で確かめることはできませんでした。二次流通での取引がどの程度あるかも、この記事では数字を示しません。

音楽NFT全体では、2022年後半からNFT市場の取引が大きく縮小したのに合わせて、多くのサービスが事業を縮小したり方針を変えたりしました。生成型の音楽NFTという発想自体は残っていますが、当時の熱気とは状況が大きく異なる点を踏まえて読む必要があります。

音楽NFTを買う前に確かめたい権利の範囲

音楽NFTで最も誤解されやすいのは、何の権利が手に入るのかという点です。NFTを買っても、通常は楽曲の著作権や原盤権は移りません。Revolutionの公式ページでも、明記されているのは「ビジュアルに関する権利を含む」という点で、生成された音源を商用に使えるかどうかの記載は確認できませんでした。

生成された曲を動画のBGMに使ったり、配信サービスに出したりしたい場合は、利用規約で許される範囲を事前に確かめる必要があります。音楽の権利はレーベル、作詞作曲者、リミキサーなど複数の関係者にまたがるため、NFTの所有者が自由に使えるとは限りません。

音楽の権利とNFTの関係は、NFTと音楽著作権の再分配の記事でも取り上げています。業界全体への影響はNFTが音楽業界にもたらす変化もあわせて読むと整理しやすくなります。

日本から関わる場合の注意点

RevolutionはEthereum上のNFTで、英語のサイトから購入する形です。日本語のサポートはなく、日本の事業者が提供するサービスでもありません。トラブルが起きても日本の消費者保護の枠組みで解決するのは難しいため、少額でも、運営元や規約を確かめたうえで判断してください。

音源ファイルの保存先にも注意が必要です。NFT本体はブロックチェーン上にあっても、曲やアートのデータは外部のサーバーやIPFSなどに置かれていることが多く、運営が止まると再生できなくなるおそれがあります。メタデータの参照先がどこかは、購入前に確認できる重要な点です。

税金の面では、個人が暗号資産でNFTを購入すると、支払いに使った暗号資産の値上がり分が所得として扱われる場合があります。NFTを売って利益が出たときも、原則として申告が必要です。年間の取引を記録しておくと、後の計算が楽になります。

よくある質問

Q. Revolutionは何点発行されるコレクションですか?

A. 3,030点です。原曲と4組のリミックスのステムを組み合わせて、1点ずつ異なる曲とアートを生成します。ブロックチェーンはEthereumです。

Q. Graffiti6のメンバーは誰ですか?

A. TokenTraxxの紹介では、シンガーソングライターのJamie Scott氏、プロデューサーのTommyD氏、アーティストのJimi Crayon氏の3人です。旧版の記事にあった「Jimi Rayon」は誤記です。

Q. NFTを買えば曲を自由に使えますか?

A. 公式ページで明記されているのはビジュアルに関する権利で、生成された音源の商用利用が認められるかは確認できませんでした。使いたい場合は利用規約を事前に確認してください。

Q. 今も購入できますか?

A. 公式ページにはコレクションが掲載されていますが、販売条件は変わることがあります。発行数や運営の継続状況は確認できなかったため、最新の情報を公式サイトで確かめてから判断してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、投資の勧誘や助言ではありません。暗号資産・NFTの価格は大きく変動します。最新の情報は各公式発表をご確認ください。