【要約】
・トランプ前大統領の関税政策が軟化の兆しを見せる一方、ビットコイン(BTC)は一時94,000ドルを突破
・ソフトバンク孫正義氏とテザー(Tether)による30億ドル規模の合弁企業構想が浮上し、安定したビットコイン積立2.0時代の到来に注目
・人工知能(AI)分野の盛り上がりは継続し、マスク氏のxAIが約200億ドルの資金調達を検討
・イーサリアム現物ETFへの資金流入やTRUMPトークンをめぐるクジラ(大口投資家)の動向が話題
・Aegisなど新世代のステーブルコインプロジェクトも登場し、ビットコインを担保にする仕組みが注目される
仮想通貨ニュースの焦点のひとつとして挙げられるのが、トランプ前大統領の関税態度がやや軟化したとされる報道です。世界的な金融市場の混乱が和らぐとの期待感から、ビットコイン(BTC)はいったん94,000ドルを突破する場面が見られました。さらに、トランプ関連銘柄として注目を浴びている「TRUMP」トークンが、強気派(ロング派)の短期的なFOMO(買い遅れを恐れる心理)を誘発し、一部の大口投資家が利益を出したことも話題となっています。
一方、米国ではSECの新リーダーにポール・アトキンス氏が就任し、暗号資産(仮想通貨)領域の規制がどのように再編されるかが注目の的です。トランプ政権下の強硬姿勢からの転換を示唆する発言も見られ、米国の仮想通貨市場に一種の「重启時刻(再スタートの瞬間)」が訪れるのではないかとの見方があります。
「投資狂人」として知られる孫正義氏が率いるソフトバンクが、ステーブルコイン発行最大手のテザーと30億ドル規模の合弁企業を設立する案が報じられました。これが実現すれば、ビットコイン積立の2.0時代を象徴する新たな柱となり得る可能性があります。特に、安定した取引や資金フローを実現するステーブルコインを軸に、AIやブロックチェーンといった最新技術を融合させる構想は、多くの投資家の関心を集めています。
仮想通貨市場では、AI関連トークンやMemeコインが引き続き盛り上がっています。中でも、イーロン・マスク氏が主導するxAIは、新たな資金調達ラウンドで200億ドル規模を目指すとの報道が浮上しました。もし実現すれば、OpenAIの大型調達(400億ドル)に次ぐ世界第二位級の初期資金調達となる見通しで、AI分野への投資熱の高さが改めて示されています。
また、AI×Meme銘柄も次々と登場しており、過去3か月間で大口投資家が大きく浮き沈みを経験した「TRUMP」トークンや、DARKなど高いボラティリティを持つ銘柄にも注目が集まっています。
法定通貨に依存しないステーブルコインとして、新たに「Aegis」が提唱する仕組みも大きな話題です。ビットコインを担保とし、その価格変動を永続先物ポジション(空売り)でヘッジすることで、「YUSD」という1ドルにペッグしたステーブルコインを発行する設計を打ち出しています。
Aegisプロトコルは、預けられた資産でBTCを購入し、対になる空売りポジションを取ることで、価格変動リスクを最小化するという新たなアプローチです。これは従来の安定通貨(USDCやUSDT)のように法定通貨や第三者の担保を必要とせず、かつオラクルへの依存を極力減らす点が特徴とされています。
イーサリアム(ETH)の現物ETFには一日で約1.04億ドルもの資金が流入し、依然として機関投資家を中心に注目が集まっています。特に、ベライゾンやフィデリティによる大規模ETFが牽引し、過去累計で24億ドルを超える資金が流入していることが確認されました。
一方、TRUMPトークンで73.2万ドルを短時間で利確したクジラアドレスが、再び約573.2万ドル相当の買いを入れたとのチェーン上データも出ています。短期的な投機が強まる一方、現物のETFやステーブルコイン市場には安定志向の資金が流入するという、二極化現象が進んでいる状況といえます。
トランプ一族が関与する暗号通貨プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」は、5.5億ドルもの資金調達を行ったにもかかわらず、投資ポートフォリオが半減し、大幅な含み損を抱えていると報じられました。さらに、関税と仮想通貨市場を巡る関係性については、過去の米国関税政策(スムート・ホーリー関税法など)の歴史を踏まえつつ、現在のトランプ前大統領による軟化姿勢が一時的な市場安心感をもたらしているとの分析もあります。
ただし、ビットコインは過去3度の半減期後に比べて伸び率が鈍化しているとの指摘や、米国ETF市場からの資金流出リスクなど、懸念材料も少なくありません。総じて、ビットコインのボラティリティは以前より穏やかになり、さらにマクロ経済要因によって上下が左右されやすい環境にあると考えられます。
本記事が示すように、仮想通貨ニュースは多角的な要素が絡み合っています。トランプ氏の関税政策をめぐる不透明感は依然残るものの、94,000ドル超のビットコイン高騰やイーサリアムETFの資金流入など、マーケットには依然ポジティブな動きも見られます。一方で、AIをめぐる大型資金調達競争や、TRUMPトークンの急激な価格変動などは、投資家にとってリスクとチャンスの両方を提示しているでしょう。
特に、米国が関税を再び戦略的に活用しはじめたことが、市場の先行きを見通しにくくする要因です。過去の歴史から見れば、関税が世界貿易全体の停滞を招いた例もありますが、今回はAIやブロックチェーン技術といった新潮流が同時に台頭しており、伝統的なシナリオからは一概に語れない複雑な局面です。グローバルな視点を持ちながら、各プロジェクトの技術と資金動向をしっかり見極めることが、今後の仮想通貨投資のカギとなるでしょう。