【要約】
・米国の通商政策や利下げ観測、暗号資産友好政策の進展により、ビットコイン(BTC)をはじめとする相場に上昇の兆しが見られる
・イーサリアム(ETH)のオンチェーン指標やテクニカルが底打ちを示唆、主要アルトコインに反転の可能性
・Zoraのエアドロップはコミュニティから強い不満が噴出、人均(1人あたり)報酬の少額化や不透明な分配比率が批判を招いた
・BinanceのALPACAなど4銘柄下架発表や、ビットコイン現物ETFの継続的資金流入など、市場は混在する材料に反応
・Memecoin(ミームトークン)は一時期に比べ市場心理が弱含むが、データ上ではなお一定の取引活況が見られる
米国のトランプ前大統領が推し進めた高関税政策が緩和に向かう兆しを見せ、仮想通貨市場のリスクオン要因となりつつあります。4月22日の演説で、関税率が大幅に引き下げられる見込みを示唆したことで、短期的な恐怖感が和らぎ、市場全体のボラティリティ(価格変動幅)も低下基調に入りました。
一方、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)の金利先物からは、年内に3回もの利下げが織り込まれ始めています。金利緩和が実現すれば、金融市場に新たな資金が流入しやすくなり、暗号通貨資産にもプラスに働く可能性があります。さらに、米国では「戦略ビットコイン備蓄」構想などを背景に暗号通貨資産に好意的な法整備が進展しつつあり、安定的かつ透明性を高める各種法案(例:STABLE法案など)が今年後半にも実施されるとの見方が強まっています。
こうしたマクロ要因を受け、ビットコイン価格は底打ちの動きを見せ、4月に入りテクニカル指標(RSI、MACD)も底背離を示唆。対米株との比較ではビットコインが相対的に底堅い値動きを続けるなど、リスク回避資産としての側面も注目され始めています。
アルトコインの王と呼ばれるETH(イーサリアム)に関しては、オンチェーン指標と合約(デリバティブ)動向から「反転の兆し」が語られています。
1)オンチェーンデータで見る底値圏
2)合約の高い取引規模
3)テクニカル指標:MACDとRSI
トレンド転換の兆候が見えるなか、短期間で200%超の上昇を記録した事例として、meme系のNEIROETHやAI系のZEREBROが取り上げられています。
ZoraはNFTマーケットから派生し、最近は独自のレイヤー2「Zora Network」や「Coins」機能などを展開してきました。長く待ち望まれたZORAトークンのエアドロップが4月23日に実施されましたが、ほとんどのユーザーがわずか数十ドル相当しか受け取れない結果に失望感を表明しています。
さらにZora側は、本トークンを“Just for fun”の意味合いが強いとし、トークンに技術的・ガバナンス的効能がないことを示唆。多くの参加者にとって「大きな期待」に反し、「大きな失望」に終わりました。
同じく4月24日、世界最大手の取引所Binanceが、ALPACAやPDA、VIB、WINGなど4銘柄を5月2日付で上場廃止すると発表。流動性不足やプロジェクト運営体制への疑念などを理由としています。この発表を受け、一部銘柄価格が急落しましたが、投機筋の買い戻しもあり、短期的には乱高下する展開が見られました。
一方、ビットコイン現物ETFには引き続き資金が流れ込んでおり、4月23日には9.17億ドル規模の純流入が記録されました。米国でのETF承認や機関投資家の増加が背景にあるとの見方もあり、ビットコイン市場全体の底堅さを示す材料となっています。
一時の「ミーム熱」が冷めつつあるとの声がある一方、データ上は依然としてメインのmemeトークンや新規上場トークンで大きな取引が観測されています。例えばSolana上の「Pump.fun」関連プロジェクトでは、取引額が継続的に推移し、ミーム市場がまだ健在であることがうかがえます。
こうした状況は、市場全体のリスク選好度が回復すれば再燃する可能性も指摘されており、今後も注意深くモニタリングする必要があります。
米国の金融政策が緩和寄りに傾き、暗号通貨資産市場へ新規資金が流れ込みやすい状況が徐々に整いつつあります。ETHを中心にアルトコインが底値を固め、特定のmemeトークンに投機資金が集まる構図が再浮上している点は、近々の相場を考えるうえで注目すべきでしょう。
ただし、Zoraのようなエアドロ失敗事例やBinanceの複数銘柄下架など、プロジェクト運営や流動性に対する厳格な評価が進んでいることも事実です。投資家にとっては、注目銘柄のファンダメンタル(基礎的価値)や政策リスク、あるいはマーケット心理を多角的に捉える必要がますます高まっています。
今後は、米国での法整備や景気動向が、BTCやETHといった主要銘柄、さらには短期資金が集中するアルト・meme領域にどう波及するのかがカギとなるでしょう。投資判断にあたっては、オンチェーンデータ・テクニカル指標・政策ニュースを総合的に把握しながら、ボラティリティの高い市場でのリスク管理を徹底することが求められます。