【要約】
・ソフトバンクとTether、伝統金融企業Cantor Fitzgeraldが共同で30億ドル規模の暗号資産合弁企業を計画
・トランプ大統領が暗号通貨「TRUMP」トークン保有者対象の夕食会開催を表明
・米国通商政策の軟化や金融緩和への期待からビットコイン(BTC)が9万ドル台後半に急伸
・スタンダード・チャータード銀行やビットMEX創業者Arthur Hayesらがビットコインの20万ドル到達予測を継続
・DCG創業者Barry SilbertがAI×暗号資産領域「Bittensor」に注力、次の大型テーマに注目集まる
暗号資産(仮想通貨)市場が再び注目を集めています。トランプ政権による対中国関税の大幅引き下げ示唆や、「ビットコインを正式に金融システムに取り込む」という政治的後押しが交錯する中、大手企業の積極投資も活発化している状況です。特にビットコインは一時9万ドル台後半を突破し、アマゾンや銀(シルバー)を上回る時価総額に到達。これに伴い市場全体も盛り上がりを見せています。本記事では、最近の主要トピックを整理しながら、焦点となるキーワードをふんだんに盛り込み、最新動向を俯瞰します。
まず大きな話題となっているのが、ソフトバンクグループ(SBG)、世界最大のステーブルコインUSDT発行元Tether、そして米国の伝統金融サービス企業Cantor Fitzgeraldが計画する約30億ドル規模の暗号資産合弁事業です。
この新会社はSPAC(特別買収目的会社)である「Cantor Equity Partners」を通じ「21 Capital」という投資プラットフォームを組成し、ビットコインを中心に大量の暗号資産を保有・管理する計画です。かつてのMicroStrategy(現在は「Strategy」)がビットコインを大量保有する財務戦略で注目を集めましたが、今回はそれをさらに発展させた「ビットコイン財務戦略2.0」へ向かう可能性があると報じられています。
一方、アメリカのトランプ大統領は最近、「FRB議長のパウエルを解任する考えはない」と表明しながらも「利下げを強く望む」姿勢を示し、さらに対中関税を大幅に引き下げる考えを公言しています。これを受け、
こうした流れの中でビットコイン価格は9万ドル台中盤からさらに上昇、時価総額ランキングでは銀やAmazonを追い抜き、一時「世界第5位の資産」として注目を浴びています。
トランプ大統領関連では、ユニークなニュースも飛び込んできました。暗号資産「TRUMP」トークンの保有者を対象とした「トランプ晩餐会」を実施するというものです。開催時期や会場は限定的で、トークン保有上位220名のみが参加できると伝えられています。
こうした政治家や有力者の積極的な暗号資産への関わりが、仮想通貨市場全体の話題作りを加速させる一因となっています。
大手銀行のスタンダード・チャータード銀行アナリストや、ビットMEXの創業者であるArthur Hayesは、ビットコインが年内もしくは2025年頃までに「20万ドルへ到達しうる」との強気見通しを繰り返し主張しています。
これに対しては「過度な期待」との批判もありますが、過去に大手金融機関がビットコインや暗号資産へ強気予測を示したこと自体が投資家心理を支えた例もあり、市場への一定のプラス材料となっています。
暗号資産投資のパイオニアとして知られるDigital Currency Group(DCG)の創業者Barry Silbertは、AI分野と暗号資産を融合したプロトコル「Bittensor(ビットテンソル)」に注力しています。
Barry Silbertは、ビットコインがデジタルゴールドとして機能する一方、Bittensorは「世界の知能を集約・活用する新たな基盤」になり得ると強調し、今後さらなる投資やプロジェクト支援を加速させる方針です。
一方、市場全体が好転しているように見える中でも、ベンチャーキャピタル(VC)などがロックアップ付きで投資を行ったトークンは、解禁前後の価格下落や流動性不足に苦しむケースが指摘されています。一部分析では「過去1年で平均して50%以上の評価損を被った」例もあるとされ、単にビットコインの上昇を享受できない構造的リスクが浮き彫りになっています。
今後はより短いロック期間や代替的な資金調達モデルを検討する動きが活発化する可能性があります。
今回の一連のニュースは、暗号資産が単なる投機対象から、政治や金融政策、さらにAI技術と結び付く「総合的なエコシステム」へと進化している現状を端的に示しています。
一方、ロックアップ投資のような課題も顕在化しており、投資家保護と市場流動性を両立する仕組みづくりが今後の焦点となりそうです。このように、ビットコインや暗号資産市場がただの「価格上昇」を目指すのではなく、政治・経済・技術の三位一体で新時代の金融インフラへと成長する可能性が高まっています。企業や投資家がどのようにアプローチしていくのか、今後も注目が必要です。