【4月24日】トランプ政権が後押しするビットコインの再加速:ソフトバンク×Tether×Cantorの30億ドル合弁事業に注目

【要約】
・ソフトバンクとTether、伝統金融企業Cantor Fitzgeraldが共同で30億ドル規模の暗号資産合弁企業を計画
・トランプ大統領が暗号通貨「TRUMP」トークン保有者対象の夕食会開催を表明
・米国通商政策の軟化や金融緩和への期待からビットコイン(BTC)が9万ドル台後半に急伸
・スタンダード・チャータード銀行やビットMEX創業者Arthur Hayesらがビットコインの20万ドル到達予測を継続
・DCG創業者Barry SilbertがAI×暗号資産領域「Bittensor」に注力、次の大型テーマに注目集まる

はじめに

暗号資産(仮想通貨)市場が再び注目を集めています。トランプ政権による対中国関税の大幅引き下げ示唆や、「ビットコインを正式に金融システムに取り込む」という政治的後押しが交錯する中、大手企業の積極投資も活発化している状況です。特にビットコインは一時9万ドル台後半を突破し、アマゾンや銀(シルバー)を上回る時価総額に到達。これに伴い市場全体も盛り上がりを見せています。本記事では、最近の主要トピックを整理しながら、焦点となるキーワードをふんだんに盛り込み、最新動向を俯瞰します。

ソフトバンク×Tether×Cantor:30億ドル規模の合弁計画

まず大きな話題となっているのが、ソフトバンクグループ(SBG)、世界最大のステーブルコインUSDT発行元Tether、そして米国の伝統金融サービス企業Cantor Fitzgeraldが計画する約30億ドル規模の暗号資産合弁事業です。

  • 出資内容
    • Tetherが15億ドル相当のビットコインを拠出
    • Bitfinex(Tether関連取引所)が6億ドル相当のBTCを提供
    • ソフトバンクが9億ドル相当のBTCを投じる見込み

この新会社はSPAC(特別買収目的会社)である「Cantor Equity Partners」を通じ「21 Capital」という投資プラットフォームを組成し、ビットコインを中心に大量の暗号資産を保有・管理する計画です。かつてのMicroStrategy(現在は「Strategy」)がビットコインを大量保有する財務戦略で注目を集めましたが、今回はそれをさらに発展させた「ビットコイン財務戦略2.0」へ向かう可能性があると報じられています。

トランプ政権の暗号資産政策とリスク資産への影響

一方、アメリカのトランプ大統領は最近、「FRB議長のパウエルを解任する考えはない」と表明しながらも「利下げを強く望む」姿勢を示し、さらに対中関税を大幅に引き下げる考えを公言しています。これを受け、

  • リスクオンムード復活:株式市場や暗号資産などリスク資産が揃って反発し、米国株主要3指数はいずれも2%超の上昇
  • 避難資産の一時調整:地政学リスク緩和や財政政策への期待から金価格は急落し、利益確定売りが出る展開

こうした流れの中でビットコイン価格は9万ドル台中盤からさらに上昇、時価総額ランキングでは銀やAmazonを追い抜き、一時「世界第5位の資産」として注目を浴びています。

トランプ、TRUMPトークン保有者向け夕食会を開催

トランプ大統領関連では、ユニークなニュースも飛び込んできました。暗号資産「TRUMP」トークンの保有者を対象とした「トランプ晩餐会」を実施するというものです。開催時期や会場は限定的で、トークン保有上位220名のみが参加できると伝えられています。
こうした政治家や有力者の積極的な暗号資産への関わりが、仮想通貨市場全体の話題作りを加速させる一因となっています。

スタンダード・チャータード銀行&Arthur Hayes:BTC20万ドル予測を維持

大手銀行のスタンダード・チャータード銀行アナリストや、ビットMEXの創業者であるArthur Hayesは、ビットコインが年内もしくは2025年頃までに「20万ドルへ到達しうる」との強気見通しを繰り返し主張しています。

  • スタンダード・チャータード銀行の分析:米国債などの市場への不透明感が強まり、分散投資の一環としてビットコインが買われる可能性
  • Arthur Hayesの見解:ビットコインがテック株との連動性から抜け出し、金と並ぶ真の「デジタルゴールド」へ進化すると強調

これに対しては「過度な期待」との批判もありますが、過去に大手金融機関がビットコインや暗号資産へ強気予測を示したこと自体が投資家心理を支えた例もあり、市場への一定のプラス材料となっています。

DCG創業者Barry Silbertが進めるAI×暗号資産「Bittensor」

暗号資産投資のパイオニアとして知られるDigital Currency Group(DCG)の創業者Barry Silbertは、AI分野と暗号資産を融合したプロトコル「Bittensor(ビットテンソル)」に注力しています。

  • Bittensorとは:グローバルな知能ネットワークを構築し、トークンインセンティブを通じて世界中の開発者がAIモデルを共有・報酬を得られる仕組みを目指す
  • ビットコインにならうトークノミクス:2100万枚の発行上限など、BTCに類似した経済設計が採用され、コミュニティドリブンの高い熱量を呼んでいる

Barry Silbertは、ビットコインがデジタルゴールドとして機能する一方、Bittensorは「世界の知能を集約・活用する新たな基盤」になり得ると強調し、今後さらなる投資やプロジェクト支援を加速させる方針です。

VC投資の難しさとロックアップの影響

一方、市場全体が好転しているように見える中でも、ベンチャーキャピタル(VC)などがロックアップ付きで投資を行ったトークンは、解禁前後の価格下落や流動性不足に苦しむケースが指摘されています。一部分析では「過去1年で平均して50%以上の評価損を被った」例もあるとされ、単にビットコインの上昇を享受できない構造的リスクが浮き彫りになっています。
今後はより短いロック期間や代替的な資金調達モデルを検討する動きが活発化する可能性があります。

ニュースの解説

今回の一連のニュースは、暗号資産が単なる投機対象から、政治や金融政策、さらにAI技術と結び付く「総合的なエコシステム」へと進化している現状を端的に示しています。

  • 政治的視点:米国の政策姿勢がほんの少し変化するだけで、ビットコインを含む暗号資産市場に大きな影響を与える
  • 企業の合従連衡:ソフトバンク、Tether、Cantor Fitzgeraldのような巨頭が参入を拡大することで、市場規模と制度整備の本格化が期待される
  • 技術的革新:Bittensorのように、ビットコインの仕組みを活用した全く新たな分野(AIとの融合)が加速し、次の大型テーマとして注目が集まる

一方、ロックアップ投資のような課題も顕在化しており、投資家保護と市場流動性を両立する仕組みづくりが今後の焦点となりそうです。このように、ビットコインや暗号資産市場がただの「価格上昇」を目指すのではなく、政治・経済・技術の三位一体で新時代の金融インフラへと成長する可能性が高まっています。企業や投資家がどのようにアプローチしていくのか、今後も注目が必要です。

NFT LABO編集部