米国株急落と仮想通貨市場の動揺、そして新たな資金流入の行方──最新仮想通貨ニュース総覧(4月23日)

【要約】
・米国株式市場が大幅下落、ナスダック指数・ダウ平均ともに2%超の急落
・ゴールドは史上最高値を更新し、一時1オンス3440ドルを突破
・Baseネットワークでのトークン発行数がSolanaを上回る動きも観測
・Galaxy DigitalがETHを大量に売却しSOLへ振り替えている疑い
・UpexiがGSRの1億ドル投資を受け、Solana財務戦略に舵を切る
・TRUMPコイン大口投資家の約86.9%が清算し大幅な損失も
・Bybitがハッキング事件を受けたセキュリティ体制再構築で急回復
・PumpFunが再びKrakenへ多額のSOLを入金、Galaxy DigitalもSOLを追加取得

米国株が急落、金価格とビットコインが高騰

4月22日、米国主要株価指数がそろって2%を超える大幅下落となり、投資家のリスク回避ムードが急速に高まりました。S&P500指数は2.36%安、ナスダック総合指数は2.55%安、ダウ平均株価も2.48%安と、金融市場は一気に警戒感を強めています。一方、現物ゴールドは1オンスあたり3440〜3500ドル付近まで高騰し、再び過去最高値を更新。米国の利上げ見直しや政策不透明感が背景にあるとみられ、「非主権型資産」への逃避先としての需要が際立ちました。

仮想通貨の代表格であるビットコインも米国株の下落と並行するように一時的に調整したものの、再度8.8万ドル近辺まで反発する場面があり、価格の底堅さを示しています。機関投資家が金と同様にビットコインを「安全資産の一角」とみなしているとの見方も一部で高まっています。

Baseネットワークでのトークン創出数がSolana超え

暗号資産データ分析プラットフォームBlockworksによれば、4月19日のBaseチェーンにおける新規ERCトークン作成数が5万1,835枚に到達し、Solanaの日次発行数4万1,642枚を上回ったことが確認されました。大半がPump.Fun関連とみられるものの、BaseのJesse Pollak氏は「Baseが活発な開発者コミュニティを獲得しつつある兆候」と強調。
同時に、Solanaも近時はGalaxy Digitalによる大規模買い増しが話題となっています。Galaxy DigitalがBinanceへ計約1.05億ドル相当のETHを送金する一方で、Solanaを約9,837万ドル分引き出した形跡があり、「ETH売却→SOL買い増し」の可能性が指摘されました。さらにGalaxy Digitalは短期間で追加のSOLを取得しており、同社によるSOLへの注力姿勢が市場の注目を集めています。

Upexiが1億ドルの出資を調達、Solana財務戦略を明言

ナスダック上場企業Upexiは、GSR(暗号資産トレード会社)から1億ドルのプライベート投資を受けたと発表しました。従来、医薬品に近い機能をもつ消費財やペットケア用品を手掛けていたUpexiですが、今回の大型調達とともに「Solana財務戦略」を公表。SOLの保有・ステーキングを軸に、企業価値の新たな成長機会を模索するとしています。
このニュースを受け、一時的にUpexiの株価は前日比600%超という異例の急騰を記録。米国企業がSolanaを含む暗号資産を積極採用する動きとして、今後の資金流入動向が注目されています。

TRUMPコイン:大口投資家の動きと損益

1月に話題を呼んだTRUMP(トランプ)コインは、その後価格下落が顕著で大口投資家の86.9%が清算したと報じられています。一部アドレスでは3,000万ドル超の含み損を抱えた例がある一方、初期に買い・売りを的確に行った投資家の中には2,500万ドル以上の利益を得たケースも散見されました。
さらに4月18日の4%トークン追加ロック解除をめぐる市場の動揺やトランプ氏が「TRUMPコイン保有者向けのイベントを検討している」という噂など、プラス・マイナス両面のニュースが交錯。結果として代替不可能なミームコインのリスクを改めて浮き彫りにする展開となっています。

Bybit:ハッキング事件後の組織再編とセキュリティ強化

大手仮想通貨取引所Bybitは今年2月、ウォレットサービスの脆弱性を突かれ約14億ドル相当の資産流出被害が発生。しかし事件後1週間以内に入出金や取引の通常化を達成し、流動性も迅速に回復しました。同社CEO Ben Zhou氏は「セキュリティ体制の全面的な見直しと外部監査強化に移行した」と述べています。
その一方で、Bybitは一部のWeb3関連サービス(クラウドウォレットやNFTマーケットなど)を集約・終了し、コアの現物・デリバティブ取引を軸とする「一元的な資産管理プラットフォーム」に注力すると発表。ハッキング事件を機に、さらなる安全性とユーザー支援体制の拡充を図る姿勢が鮮明になりました。

PumpFunの大量SOL送付とGalaxy DigitalのSOL増

PumpFunはKrakenへ9,5934枚のSOL(1,334万ドル相当)を追加送金し、短期間で合計約1,818,889枚のSOLを市場へ投入していることが分かりました。2025年に入って同社の資金移動は3.24億ドル相当に達しており、市場での存在感が大きくなっています。
またGalaxy Digitalは、数日間でBinanceからさらに12万3058枚のSOL(約1,710万ドル)を追加で引き出し、過去7日間で合計9,500万ドル相当のSOLを引き出している状況です。ETH売却疑惑と合わせ、市場では「SOLへの資金シフトが加速している」という分析が浮上しています。

金融規制の変化:Paul Atkins氏がSEC新議長就任か

Fox記者Charles Gasparino氏は「Paul Atkinsが最短で火曜日にもSEC(米国証券取引委員会)議長に就任する」との見方を示しました。これが実現すれば、暗号資産に対する規制観点が転換する可能性があります。Atkins氏は金融緩和的な姿勢で知られ、トランプ大統領の行政方針と相まって「金融規制のさらなる緩和」が促進されるという観測も。
ただし一方では、こうした規制緩和は業界を活性化させる半面、過度な自由放任となるリスクもあり、機関投資家やトレーダーは警戒感を持って動向を注視しています。

ニュースの解説

今回の米国株急落と金価格最高値更新は、トランプ大統領によるFRBへの利下げ圧力やドルへの不信感が顕在化した結果とも考えられます。さらに、Galaxy DigitalやPumpFunのSOL大量取得・送金など、主要投資家の動向は「仮想通貨の選別買い」をうかがわせる興味深い現象です。UpexiがSOLを中核に財務戦略を転換した点や、Bybitのハッキング対応から見るセキュリティ重視の姿勢は、業界全体のマネーフローと取引所競争の行方を映し出す要素となっています。今後、米国におけるPaul Atkins氏のSEC議長就任が、規制緩和への転機になるか否かも注目すべきポイントと言えるでしょう。こうした市場再編の動きは、投資家にとって戦略を練り直す好機となるかもしれません。