【4月22日】トランプ“金言”で金相場が史上高値圏、ビットコイン価格は波乱含みの上昇継続なるか

【要約】
・トランプ氏の「金保有がルールを決める」という発言により、金価格が初めて1オンスあたり3380ドルを突破
・ビットコイン価格は8.3万~8.6万ドルレンジで推移し、短期では6.6万~6.7万ドルが空売り勢のストップ狙いの重要水準との見方
・教皇フランシスコ氏の訃報報道を受け、LUCEが一時70%超上昇
・複数の機関投資家が2025年のビットコイン価格について強気・慎重それぞれの予測を展開
・DeFiやインフラ系プロジェクトで活発な資金調達が相次ぎ、総額2億8600万ドルを超える資金流入

トランプ発言が押し上げる金価格とビットコインの行方

米国前大統領トランプ氏がSNS上で「金を持つ者こそ規則を作る」という趣旨のコメントを投稿し、金市場が急反応しました。現物金は3380ドルの大台を突破し、ニューヨーク期金も3375.9ドル付近まで上昇。さらに中国をはじめ各地の宝飾店でも金相場が上がり、一部では1グラムあたり1040元(約1040円)に迫る水準となっています。

一方、暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコイン価格が8.3万~8.6万ドルのレンジを行き来しています。Greeks.liveのアナリストは、6.6万~6.7万ドル付近に空売り勢のストップロスが集中していると指摘。大手投資家による予測では、21SharesやTimothy Petersonが「2025年末に13.8万ドル前後」、著名作家Robert Kiyosaki氏は「18万~20万ドルに到達する」と示唆する一方、スイスのSygnum銀行は「規制整備と参加者増でアルトコインの反発は2025年第2四半期」との見立てを示しています。対して、Lyn Alden氏は「ビットコインは85,000ドルを上回るものの、過度な流動性リスクに留意すべき」と慎重論を展開。こうした強弱入り交じる見解は、今後の政策動向やマクロ経済の影響を色濃く反映していると考えられます。

教皇フランシスコ氏逝去報道でLUCEが急騰

4月21日、天主教教皇フランシスコ氏が88歳で逝去したとの報道が流れました。このニュースを受け、LUCEという代替トークンが短時間で70%超の上昇を記録。SNS上では、天主教関連の動向と絡めて投資家の心理が変動した結果とみられています。一部アナリストは、このような急騰は流動性が薄いトークンに特有の現象であり、短期的な値動きには警戒が必要と指摘しています。

ビットコイン価格が一時8.7万ドル突破、今後の見通し

同じく4月21日、ビットコイン価格が一時8.7万ドルを上回り、イーサリアムも1600ドル、ソラナ(SOL)も140ドルに達しました。投資家の間では「ビットコイン価格が続伸し、9万ドルに近づくのか、あるいは大口投資家の売りによって再び急落するのか」という議論が活発化しています。Real Visionの創業者Raoul Pal氏は、マネーサプライ(M2)との相関に注目し「流動性が上向けばビットコインも追随する」との見立てを示しました。一方、Matrixportは「米連邦準備制度(FRB)の政策転換や新たな流動性供給がない限り、急ピッチな上昇は限定的」と慎重な姿勢です。

10万ドルから7.5万ドルへ:調整局面とサイクルの真実

Tim氏の分析によると、ビットコインは今年に入って10万ドルを超えた後、7.5万ドル付近まで下落。MVRV-ZスコアやVDD(Value Days Destroyed)などのチェーン分析では「この回調は過去の強気サイクルでも見られた正常な範囲内」との結果が示されています。新規参入者(保有期間が短い投資家)は急騰時点で買い向かった一方、価格下落時には売りが出やすい構造が顕著であり、比較的長期目線の投資家が再び買い増しているというのが、今回の回調局面の特徴とされています。
また、このような資金フローの移り変わりは歴史的に「牛市における健全な調整」とされるケースが多く、さらなる上昇につながる前触れとも考えられます。しかしながら、株式市場との連動性や世界的な景気後退リスクを考慮すると、今後も乱高下が続く可能性は十分にある点に留意が必要です。

活況が続く資金調達

上記の相場動向とは別に、暗号資産市場では依然として活発な資金調達が行われています。4月14日から20日にかけての1週間で14件・合計2億8600万ドル超の調達事例が公表されました。特にDeFi分野ではResolv Labsが1000万ドルを集めたほか、インフラ系ではLayerZeroが新たに5500万ドルの追加投資を獲得。また、ビットコインマイニング関連では米国のAuradineが1億5300万ドルの大型資金を調達し、マイニング機器とAI基盤事業拡張に乗り出すと報じられています。こうした調達は、価格下落局面でもイノベーションが継続していることの裏付けといえるでしょう。

Binance WalletがHyperlane TGEを実施

Binance公式ウォレット「Binance Wallet」は、4月22日17時~19時(北京時間)にかけて、Hyperlane(HYPER)のトークン生成イベント(TGE)をPancakeSwapで開催すると発表。参加条件として、2025年3月22日0時~4月20日23時59分(UTC)の期間に、Binance Wallet(無密鍵版)またはBinance取引所を利用してBinance Alphaを20ドル相当以上購入したユーザーが対象となります。TGE後には、追加のマーケティング施策としてHYPERが1,000万枚用意されているとのことです。

Bybitからの盗難資金、大半は追跡可能も一部は行方不明

BybitのCEO Ben Zhou氏によれば、約50万ETH(時価総額約14億ドル相当)が外部に流出した事件で、68.57%がまだ追跡可能、3.84%が凍結済み、27.59%が「行方不明」とのことです。混合サービスやOTC・P2Pを経由して複数のアドレスに分散されている模様ですが、今後もチェーン分析を活用して追跡を続ける姿勢が示されています。

Telegram創業者、暗号化の後門提供要求に断固反対

Telegram創業者Pavel Durov氏は、フランスなどで提案されている「捜査目的の後門(バックドア)設置」に真っ向から反対を表明しました。Durov氏によると、いったん後門を設ければ、犯罪者だけでなくあらゆる第三者に個人データが漏洩するリスクが高まると指摘。さらに犯罪組織は小規模なアプリやVPN経由で通信手段を迂回するため、正規ユーザーのプライバシーだけが脅かされる可能性があると警告しています。Telegramは「後門を用意せよ」と求められるような国や市場からは撤退する姿勢を示し、プライバシー保護の優先順位を貫くと表明しました。

ニュースの解説

足元のマーケットは金市場の上振れとビットコイン価格のレンジ推移という対照的な動きが目立ちます。米国政界からの発言やフランスでの暗号化規制の動向、さらには個人投資家による投機的行動が加わり、一段と不透明感が増しています。一方で、DeFiやマイニング分野には大型資金が注入され、新規プロジェクトが積極的に展開中です。こうした資金面のサポートは、短期的なボラティリティに左右されない中長期的な成長余地を示唆するものと言えるでしょう。加えて、SNS大手のTelegramがプライバシー保護を優先する姿勢を明確化するなど、暗号空間における“自律性”や“個人の自由”をめぐる議論も一層活発化していくと考えられます。特にビットコイン価格においては、従来の金融政策や規制、投資家心理の三つ巴の影響を強く受けつつ、こうした新技術の可能性と社会的意義に着目した資金の流れが次の転機を生む契機となるでしょう。