【要約】
・MANTRA(OM)の深夜大暴落がRWA市場に大きな動揺を与えた
・ゴールド価格が史上最高値を更新する中、暗号資産市場でも「代替資産」としてトークン化された金への注目が高まっている
・OM暴落でRWAセクターは大幅下落、関連ウォレットから取引所への大規模送金も確認
・米国SECはGrayscaleのイーサリアムETFステーキング計画審査を延期
・スタンフォード大学HAIのレポートではAIの急速な進化が示され、アジアでのAIへの楽観論が顕著
4月14日未明、**MANTRA(OM)**の価格が短時間で約90%暴落し、多くの投資家がパニックに陥りました。過去24時間の下落率は一時89%超に達し、直前まで100億ドル規模のFDV(完全希薄化時価総額)を誇っていたOMが一瞬にして大幅に価値を失う事態となったのです。
この急落について、プロジェクト側は「チームや主要投資家による意図的売却ではなく、流動性の低い時間帯で強制清算が重なったことが原因」と説明しています。さらに、複数の大口ウォレットから取引所への大量のOM移動が確認されており、一部投資家による「意図的な市場操作や潜在的な内部売却」を疑う声も少なくありません。
一方で、OMの主要取引所であるBinanceやOKXは、OMのリスク警告やレバレッジ引き下げなどの措置を実施してきたとコメントしました。大手投資機関やプロジェクトチーム、取引所間で責任の所在が食い違う状況となっており、コミュニティ内では情報が錯綜しています。
OMは2024年にかけて実施された**RWA(実世界資産のトークン化)**という人気テーマをもとに急騰し、一時は200倍超の上昇を記録しました。しかし、その高騰の裏にはプロジェクト初期からの「高度な控盤構造」が指摘されています。
OMはRWA銘柄として代表的存在でしたが、この大暴落によりRWAセクター全体が24時間で約44%下落したと報じられています。OMに限らず、多くのRWA系トークンは実際のTVL(総ロック額)が小規模にもかかわらず、過度に高い評価を受けていたケースが散見されました。OMの例はそうした「ファンダメンタルズ乖離」のリスクを改めて示した格好です。
一方、国際金価格が1オンスあたり3240ドルを突破し、史上最高値を更新しています。この流れを受けて暗号資産市場では、トークン化された黄金が「安全資産」として再評価されているのが特徴です。
これらのトークンは売買の手軽さと低コストが特徴で、従来のETFと比べても保管手数料などの負担が小さい点が支持を集めています。
現時点ではXAUTやPAXGといった大手発行体のトークンが圧倒的に流通量と信頼性を有しています。他のトークン化黄金プロジェクトは透明性の確保や取引市場の拡大が課題と言えるでしょう。
米国SEC(証券取引委員会)は、Grayscaleが申請した現物イーサリアムETFにステーキング機能を加える提案について、審査期限を4月17日から6月1日まで延期することを決定しました。SECは追加検証が必要としており、現時点ではステーキングサービスとETFとの組み合わせに慎重な姿勢を崩していません。
スタンフォード大学HAIの**「2025年AIインデックス報告書」**では、AI技術の効率化と普及が急速に進んでいる実態が示されました。小規模パラメータのモデルでも高い性能を発揮し、エネルギーコストの削減も顕著とのことです。国際世論調査によると、アジア地域(中国やインドネシアなど)ではAIへの期待感が特に高く、欧米諸国よりも「AIは利益がデメリットを上回る」と考える傾向が強いことが分かりました。
今回のOM暴落は、高い時価総額と低い流動性という暗号市場特有のリスクが現実化した事例と言えます。OMをはじめとするRWA銘柄は、華やかな実物資産トークン化のストーリーを掲げていた一方で、実際の資産管理の透明性やガバナンス体制が整備されていなかったケースが散見されます。ゴールドのような伝統的資産もトークン化によって注目されている反面、実需と流動性、そして透明性を両立できるかが今後の課題です。
さらに、SECのGrayscale ETF審査延期は、既存金融と暗号資産の融合に対する監査体制の厳格化を象徴しています。今後の市場には、AI技術による効率化・リスク評価の高度化も含め、より慎重かつ複合的な視点が求められるでしょう。そうした観点からも、投資家はプロジェクトの基礎情報や法的リスク、実質的な流動性などを慎重に見極める必要があります。