【4月13日】米国関税の揺らぎと新SEC主席の就任で変わる仮想通貨市場──最新動向を徹底解説

【要約】
・米国が中国から輸入される一部の電子機器(スマホやノートPCなど)を“対等関税”125%の対象から除外
・次週にかけて米連邦準備制度(FRB)要人が多数発言予定で、金融市場はトランプ氏の関税政策の影響を注視
・Paul Atkins氏がSEC(米国証券取引委員会)新主席に就任し、暗号資産(仮想通貨)規制の方向性に変化の兆し
・ビットコインと金の相関が弱まり、BTC価格が調整局面に入った可能性
・トランプ家族の暗号プロジェクトWLFIがSEIを約489万枚追加購入
・トランプ氏の“朝令暮改”ともいえる関税政策で金融市場が混乱し、仮想通貨も影響を受けている

米国“対等関税”の一部除外がもたらす影響

まず注目すべきは、米国が中国から輸入される一部の電子機器を、従来の125%にも及ぶ“対等関税”対象から除外すると発表した点です。スマートフォンやルーター、一部のコンピューター類が適用除外となり、これらを輸入する企業には一定の負担軽減が期待されます。

さらに、輸入業者は税関申告時に豁免(免除)措置を申請する必要があるほか、すでに通関した商品については、所定の期間内に申告内容を修正する手続きが必要となります。ただし、これらの製品が“対等関税”以外の20%関税の対象になるか否かはまだ不透明で、米国際貿易委員会やホワイトハウスからは明確なコメントが出ていません。

キーワード配置

  • 関税政策
  • 対等関税
  • スマートフォンやノートパソコンの輸入

米国のこうした政策変更により、グローバルサプライチェーン全体が見直しを迫られる可能性もあり、仮想通貨(暗号資産)市場においては、採掘(マイニング)機器や関連する部材の流通コストに注目が集まるでしょう。

来週の注目マクロ要因:FRB要人の発言ラッシュ

次週は、FOMC(連邦公開市場委員会)の投票メンバーを含む複数のFRB高官が重要な講演や対談を行う予定です。リッチモンド連銀総裁やアトランタ連銀総裁、クリーブランド連銀総裁などが、米国経済や金融政策、銀行業の現状に言及するとみられます。

投資家の視線は、米国の実体経済への影響とトランプ政権の関税方針がどのように絡み合うかに集中しています。さらに3月の米小売売上高や、米国の新規失業保険申請件数などの経済指標の公表も控えており、仮想通貨市場を含むリスク資産全般のボラティリティ(変動幅)は引き続き大きくなる可能性があります。

キーワード配置

  • 米国経済指標
  • FOMC票委
  • 金融政策と仮想通貨相場

新SEC主席Paul Atkinsの就任:暗号資産規制に変化の兆し

背景と資産状況

米国証券取引委員会(SEC)の新主席に、Paul Atkins氏が就任することが正式に決定しました。彼は過去数十年でも屈指の資産家とされ、その一部は仮想通貨(暗号資産)関連にも投資されていたと報じられています。

情報開示によると、SecuritizeやAnchorage Digital、Off The Chain Capitalといった業界プレイヤーに対しても出資を行ってきたとされ、利益相反を避けるために当該ポジションは放棄される見通しです。

Gensler時代との違い

前任のGary Gensler氏は“規制による取り締まり”を優先する姿勢が強く、RippleやCoinbaseをはじめ、複数の仮想通貨事業者との間で法的対立が続いていました。しかし、Atkins氏は「理性と一貫性、原則に基づく規制」を掲げ、明確なルール整備に意欲を示しており、その結果、従来進行中だった主要取引所やDeFiプラットフォームへの訴訟や調査が次々と決着または撤回されたと伝えられています。

ただし、世界経済やトランプ氏の通商政策に関する不確実性が残る中で、Atkins氏の就任がビットコインやその他アルトコインに一気に強気材料をもたらすわけではない点には留意が必要です。

キーワード配置

  • Paul Atkins
  • SEC規制
  • RippleやCoinbase
  • 理性と一貫性に基づく規制

BTCと金の“裂け目”、そして機関投資家の動向

2025年の初頭からこれまで比較的連動していたビットコインと金の相関が弱まっています。1月中旬にはBTC価格が10.9万ドルのピークに到達したのち、利益確定売りや機関投資家のリスクオフ姿勢も相まって下落に転じました。一方で金は上昇傾向を維持しており、同期間で16%の伸びを見せています。

機関投資家の多くが、テック株(NASDAQ)と同一ポートフォリオでビットコインを扱うケースも増えており、NASDAQが売られると自動的にビットコインも担保売却されやすい構造となっているのが現状です。短期的な価格変動とは別に、ビットコインは依然としてデジタル時代の革新的資産として加速的に成熟しているとの分析もあります。

トランプ家族の暗号資産プロジェクトWLFI:SEIを追加購入

トランプ家族が支援するWorld Liberty Financial(WLFI)は、新たに489万枚のSEIを平均単価0.158ドルで取得しました。総保有量はおよそ598万枚に達しています。背景には、トランプ氏の関税政策に対するヘッジ、そして分散投資の狙いがあるとも取り沙汰されています。

“朝令暮改”の関税と混乱する金融市場

ホワイトハウスからは“対等関税”の一時停止検討や公式発表の訂正が相次ぎ、グローバル金融市場は乱高下しています。株式市場だけでなく仮想通貨市場もリスク回避姿勢が強まったかと思えば、一部銘柄が思惑で急騰するなど、不安定な値動きが続きました。

PANewsの「一周精选」報道によれば、トランプ氏の強硬姿勢が大統領選に向けた“政治的パフォーマンス”だとの見方も出ており、政策が短期的に変更されるリスクを市場参加者は常に織り込まざるを得ません。こうした不安定要素は仮想通貨のボラティリティをさらに高める要因になり得るでしょう。

ニュースの解説

上述のニュースから浮かび上がるのは、トランプ政権の関税政策変動と、米国の金融当局の新たな動きが交錯することで、仮想通貨市場を取り巻く環境が一段と複雑になっている点です。Paul Atkins新主席の就任で、一部の法的リスクが和らぐ見込みが出ている一方、外部環境の不透明性は依然として残ります。

特に、米国が世界的な関税政策をどう舵取りするかは、マクロ経済に大きな影響を与え、仮想通貨の資金流入・流出にも影響を及ぼします。さらに、NASDAQとの相関や金との相関が断続的に変化しているビットコインの値動きを理解するためには、マクロ要因や機関投資家のポートフォリオ構造の変化にも注目が必要です。こうした複合要因を総合的に把握し、自身の投資戦略を再考していくことが求められています。

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