【4月6日】米国の大型関税と金融政策の行方――仮想通貨市場と世界経済を揺るがす最新動向

【要約】
・中国が米国産輸入品に対し34%の追加関税を発動
・米国3月の非農業部門雇用者数が22.8万人増、失業率は4.2%に上昇
・米国株式市場が約5年ぶりの大幅下落でナスダックがテクニカル・ベア入り
・Circleは関税リスクによりIPO延期を検討
・GrayscaleがSolana ETFのS-1をSECへ提出
・一部の安定通貨(Stablecoin)は米SECの規定上、証券に該当しないとの方針
・ビットコインは今年第3四半期から2026年第1四半期の新高値を期待する声も
・大口ETHホルダーの売却続き、仮想通貨市場の変動リスクに注意

中国の追加関税と米国の反応

中国の34%関税発動

中国国務院関税税則委員会は、米国政府がいわゆる「対等関税」を発動したことへの対抗措置として、米国産輸入品全てに34%の追加関税を実施すると公表しました。開始は2025年4月10日正午(現地時間)からで、同日時点で輸送中だった貨物については特例的に不課税が認められる猶予期間が設けられています。
この措置は、関税問題がグローバルなサプライチェーンと経済成長に深刻な影響を与える可能性を示唆しており、仮想通貨市場においても投資マインドを冷やす一因となっています。

米連邦準備制度理事会(FRB)の見解

FRB議長ジェローム・パウエル氏は、今回の新たな関税の影響について「通貨政策を調整するには時期尚早」としつつも、インフレ率上昇や経済成長鈍化の可能性を示唆。さらに2025年中に2回の利下げを維持する見通しを表明しました。これに対し前大統領のドナルド・トランプ氏は「もっと積極的な利下げが必要」とFRBに圧力をかけ、米政府と中央銀行が方針をめぐって対立しています。

米国雇用統計と株式市場の急落

3月非農業部門雇用者数と失業率

米国の3月非農業部門雇用者数(NFP)は22.8万人増と予想を上回りました。しかし失業率は4.2%と前月の4.10%から若干上昇。労働市場は堅調さを維持しつつも、インフレ懸念や関税による景気後退のリスクが表面化する局面となっています。

米国株式市場の大幅下落

米国株式市場は、ここ5年で最も厳しい下落局面を迎え、ナスダックは史上高値から20%以上の下落でテクニカル・ベアに突入。ダウ平均も史上高値から10%以上下落し、調整局面を示しています。追加関税と地政学リスクに加え、インフレと金融政策の先行き不透明感が重なった形です。

CircleのIPO延期検討と金融機関の動向

関税がIPOに影響

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、Circleなど複数の米系フィンテック企業がIPO(新規株式公開)の延期を検討中と伝えられています。特にCircleはステーブルコインUSDCの発行体として知られており、安定通貨の需要が高まる一方で、新たな課税リスクを避けるため上場時期を慎重に判断している模様です。

一部ステーブルコインは米SEC管轄外に

SEC(米国証券取引委員会)では、法定通貨と1:1で裏付けられるステーブルコインのうち、資金決済・送金など投資目的以外のユースケースが中心のものについては「証券には該当しない」との声明を出しました。これはドルペッグ通貨の一部がより明確な法的位置づけを得たことを意味し、国内外の金融機関によるステーブルコイン活用が拡大する可能性があります。

GrayscaleのSolana ETFやDeFiの新展開

GrayscaleがSolana ETF申請

資産運用大手のGrayscaleは、Solana(SOL)を裏付け資産とするETFのS-1登録申請を米SECに提出しました。すでにビットコインやイーサリアムなど主要銘柄に対する投資信託を運用しており、Solanaのエコシステムがさらに拡大していることを受け、新たな上場投資信託の立ち上げを狙う形です。

pump funのライブ配信とBinanceのLaunchpool改訂

SNSアプリ「pump fun」はライブ配信機能を一部ユーザーに提供開始し、違反行為をチェックする審査方針を設定しました。一方、仮想通貨取引所Binanceは、LaunchpoolとBNBページを刷新し、エアドロップの進捗管理や保有トークンの追跡がより簡易化されています。

初期資金調達の活況

スタートアップ「Codex」は、暗号資産業界の著名VCから1580万ドルのシードラウンドを調達し、将来的なDeFi連携や新たなブロックチェーン基盤の開発が期待されています。市場環境が揺れる中でも、基盤技術や新サービスを提供する企業への投資意欲は依然として高い模様です。

ビットコイン強気シナリオとETH大口売却

アナリストらの強気見解

一部の著名アナリストは、関税や米国金融政策の混乱が続く中でも、ビットコインは2025年後半から2026年前半にかけて新たな最高値を更新する可能性を指摘しています。リスク回避資産としての地位がゴールドと並び再評価される可能性があるとの声もあり、機関投資家の動向が注目を集めています。

ETHクジラの継続売却

2025年4月に入り、かつてイーサリアムICOに参加した大口保有者が複数回にわたってETHを売却していることが確認されています。約2200ETH以上(総額400万ドル超)の売却が行われ、依然3万枚以上を保有するウォレットがある点に市場の警戒感が高まっています。

ニュースの解説

最新の仮想通貨ニュースでは、中国と米国の関税摩擦が再び経済全体を揺さぶり、投資家心理が不安定化しています。特に米株式市場の動揺は、仮想通貨市場やDeFiを含むリスク資産全般に連動する傾向が続き、価格変動リスクの増大要因となっています。こうした環境下でも、GrayscaleのSolana ETF申請やCodexの大型資金調達など、機関投資家が絡む前向きな動きが注目され、今後の市場成長シナリオを支える一端を担う可能性があります。

一方、CircleのIPO延期検討や大口ETH保有者の売却動向は、投資家に慎重姿勢を促す材料です。ステーブルコインの法的位置づけは明確化しつつあり、米国では一部の規制緩和も観測されますが、世界的な関税政策や経済指標による急変が続く中で、仮想通貨は依然ボラティリティの高い局面に直面しています。投資家は各国の金融政策や関税ニュースを注視しつつ、安全策としての資産配分や時機を見極める必要があるでしょう。

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