【4月5日】トランプ家族のビットコイン参入とパウエル議長の最新発言──仮想通貨市場に広がる影響とは?

【要約】
・トランプ次子エリック氏がHut 8と共同でビットコインマイニング企業「American Bitcoin」を設立
・同社は四段階の拡張計画を公表し、合計50 EH/s超を目指すとともに、最終的には上場を視野に入れる
・Hut 8は「デジタル基盤」事業にフォーカスし、安定的な収益を確保する方針
・一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、関税政策に伴うインフレ懸念と経済成長のリスクを指摘
・2025年に2回の利下げを行うとの見通しを維持する一方、今は状況を見極める段階だと強調

トランプ家族が仮想通貨マイニングに参入

北米の大手マイニング企業Hut 8とトランプ次子エリック氏らが共同で新会社「American Bitcoin」を設立し、ビットコイン採掘事業に乗り出すことが明らかになりました。Hut 8はこれまでビットコインマイニングを主力としてきましたが、今回の合弁で採掘部門を新会社に移管する形を取っています。Hut 8は新設企業の株式80%を保有し、エリック氏を含むトランプ家サイドが20%を持つ構造です。

事業構造の再編

もともとHut 8は自前のASICマシン(10 EH/s超)を所有していましたが、これらをアメリカの子会社American Data Centersに移管し、その上で名称を「American Bitcoin」に変更。Hut 8本体は「デジタル基盤(電力・データセンターの運営)」を中心とする企業へと生まれ変わり、安定した法定通貨収入を得る方針へ転換するとされています。一方のAmerican Bitcoinはビットコインの価格変動を収益源とし、将来的な上場と大規模拡大を視野に入れています。

エリック・トランプ氏が描く狙い

新会社「American Bitcoin」の首席戦略責任者(CSO)に就任するエリック・トランプ氏は、「不動産やゴルフ場などの実物資産で培ったノウハウに加え、政治の世界で体感した銀行口座凍結リスクなどを踏まえ、ビットコインの強みを確信した」と述べています。銀行手続きの煩雑さを痛感した経験から、即時性・グローバル性に優れたビットコインを「デジタル黄金」とみなし、同社を世界最大かつ最も効率的なマイニング企業に育て上げると表明しました。

American Bitcoinの具体的成長戦略

American Bitcoinが発表した四段階の拡張計画は、いずれもHut 8との協業を前提としています。最終目標は、総算力50 EH/s以上かつエネルギー効率15 J/TH未満の達成です。

第1段階:Hut 8からの引き継ぎ

まずはHut 8が所有する10 EH/s分のASICマシン(平均効率21.2 J/TH)をAmerican Bitcoinに継承。これにより、同社はすぐに稼働可能な基盤を確立します。

第2段階:大型サイトの活用

次にHut 8が調達済みの設備と独自の液冷システムを導入することで、追加の15 EH/s(U3S21EXPHマシン)を稼働。合計25 EH/sへ引き上げながら、効率を16.3 J/TH付近まで下げる狙いです。

第3段階:さらなる調達とサイト増設

Hut 8が排他権を持つ別の施設を活用し、さらに10 EH/s超のマシンを増設。総算力は35 EH/sを上回り、効率は16 J/THを下回る見込みです。

第4段階:50 EH/s突破を目指す

最終的には追加の15 EH/s分を導入し、合計50 EH/s超を達成。トータル効率も15 J/TH以下を狙う計画です。
この拡張計画において、Hut 8との間で結ばれたトランザクション3本柱が鍵を握ります。すなわち(1)托管契約、(2)管理サービス契約、(3)共有サービス契約です。American Bitcoinは自らインフラを抱えずにコストを抑え、Hut 8は安定した法定通貨収入を得るという仕組みが特徴となっています。

パウエル議長の最新発言と金融政策の見通し

一方、仮想通貨市場にとって見逃せないのが、米連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長のコメントです。4月4日に複数メディアが伝えたところによると、パウエル議長は「新たな関税の導入が予想以上に広範囲に及ぶ可能性がある」と指摘。関税による物価上昇(インフレ圧力)と経済成長の鈍化リスクを強調しました。

2025年に2回の利下げを想定

パウエル議長は、米国が2025年に2回の利下げを行うとする以前からの予測を堅持すると表明しています。ただし、現段階で金融政策を急に転換するのは「時期尚早」として、不透明要素が高いことを繰り返し強調しました。とくに「今は状況を一歩引いて見守る局面」であり、関税や財政政策、移民政策、規制改革といった複数の要因が重なり合うため、最終的な影響がまだ把握しきれていないという立場です。

関税によるインフレへの懸念

トランプ前大統領が進める関税策について、パウエル議長は「想定より大幅な引き上げとなりうる」とし、結果的に物価上昇を引き起こす要因になりかねないとコメント。また、同時に経済の伸びを抑制するリスクも言及しています。これは雇用と物価(インフレ)の双方にマイナスの影響を与え、FRBの金融政策に二重の負荷がかかる可能性を示唆しています。

「政策調整は先送り」が基本方針

議長は「まだ適切な政策が何か見定めるのは難しい」と言及したうえで、「現時点で金利を即座に上下させる段階にはない」と明言。銀行業界への影響や地政学リスクなど、多面的に考慮すべき要素があるとして、しばらくは追加データを待ちたいとの見解を示しました。

トランプ家族の仮想通貨マイニング参入は、Hut 8の大規模な事業転換をともないながら、最終的に世界最大級のビットコインマイニング企業を目指す動きとして注目されています。一方で、パウエル議長の発言が示すように、関税や各種政策の影響次第で金融環境は変動しかねず、仮想通貨相場のボラティリティにも注意が必要です。マイニング事業の拡大と金融政策の先行きは、今後のビットコイン市場を左右する重要な視点となるでしょう。

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