【3月23日】相次ぐアルトコインETF申請とWeb3で広がる自主経済――加速するデジタル資産の新局面

【要約】
・Canary CapitalによるアルトコインETF申請が相次ぎ、市場で議論が活発化
・PENGU ETFをはじめとする新興ETFは本当に必要か、それとも宣伝目的なのか
・S-1ファイル提出の低コストが背景にある可能性
・Solana先物上場に見るアルトコインの需要とリスク
・Web3×AIの「自主経済(Agentic Economy)」が今後の成長分野として注目

Canary CapitalのアルトコインETFがもたらす波紋

暗号資産市場では近年、アルトコインETFの可能性が注目を浴びております。中でも設立間もないCanary Capitalによる一連の申請ラッシュは、投資家コミュニティを大きく揺るがしています。2025年3月には「PENGU ETF」の申請を通じ、NFTであるPudgy Penguinsと$PENGUトークンを組み合わせるという新趣向が話題となりました。ETFが認可されるかどうかはともかく、コミュニティでは「これらETFに本質的な需要はあるのか、それとも単なるマーケティング手法か」という議論が交わされています。

特に焦点となっているのがS-1ファイル提出の敷居が低い点です。米国ではETF申請のために必要なS-1ファイルの作成コストが約10万ドルとされ、それほど高いハードルではありません。こうした背景から、Canary CapitalはSUI、Axelar、LTC、Solana、XRPなど複数銘柄のETFを迅速に申請していると見られています。実際に申請ニュースが出るたび、対象コインの価格が一時的に上昇するパターンもあり、「ETF申請自体が広告になっているのではないか」という指摘も拭えません。

2.PENGU ETFとコミュニティの温度差

Canary Capitalが提出したPENGU ETFは、Pudgy PenguinsのNFTコミュニティ内で賛否が割れています。「伝統的な投資家が馴染みの薄いmemecoinやNFT関連ETFに興味を示すのか」という疑問もあり、実際に価格はリリース直後こそ上昇したものの、その後は目立った上昇を維持できませんでした。一方で、NFT文化やmemecoinが金融商品の形で取り扱われることに、革新的な可能性を見いだす楽観的な声もあります。

こうした状況から、「アルトコインETF」の実需とマーケティング効果のどちらが優勢なのか、いまだに結論は見えておりません。ただし、複数のコインで繰り返されるETF申請からは、投資企業が「ニュースバリュー」を意図的に高めようとしている思惑も見え隠れします。

Solana先物上場とアルトコイン需要の現実

CME(シカゴ商品取引所)では3月17日にSolana先物が上場されました。これはアルトコインETFへの布石と捉えられ、機関投資家の需要を測るテストとも見なされています。しかしながら、上場初日の取引量は1,230万ドル程度で、ビットコインやイーサリアムが先物としてローンチされた際の記録と比べると低調でした。専門家によれば、市況が盛り上がりに欠ける段階での上場であったこと、さらにSolanaの流動性がビットコインほど大きくないことが影響したとの見方があります。

実際に、アルトコインETFが承認に至ったとしても、主要コインのような強力な資金流入を一気に得るのは難しいかもしれません。ビットコインETFが過去に価格を大きく動かした事例もありますが、アルトコインの場合は市場規模や知名度の面でハードルが高いのが現実です。

Web3とAIの融合:「自主経済(Agentic Economy)」の可能性

一方で、アルトコインETFや先物取引の動きとは別に、Web3分野ではAI技術との連携による「自主経済(Agentic Economy)」が拡大するとの指摘があります。大規模言語モデル(LLM)の発展によって、AIエージェントが自律的に取引や情報分析を行うことが現実的となりつつあるのです。

従来の金融取引は人間の判断を前提とし、板情報を見ながらトレードするスタイルが主流でした。しかし今後は、AIエージェントが自律的に投資判断を行い、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを駆使して流動性供給やリスク管理を行う時代が到来すると期待されています。特に、アルトコインETFのような新興商品でも、AIを活用した正確なデューデリジェンスや高速な売買執行が行われる可能性があります。

こうした自律的なAIとWeb3の融合によって、デジタル資産の利活用シーンは一段と拡大するでしょう。金融サービスが効率化されるだけでなく、将来的には数兆ドル規模の大市場へ成長する可能性があると見られており、多くの投資家やプロジェクトが注目しています。

アルトコインETFに対する懐疑や、Solana先物上場の需要低迷など、一見後ろ向きなニュースが目立つ中でも、Web3分野はAI技術との新たな接点で大きく変容しつつあります。先行きが不透明な局面ほど、新技術と規制の行方を注視し、冷静に動向を見極めることが求められるでしょう。

関連記事

ページ上部へ戻る