【2月9日】香港のETH資産証明移民からTetherの巨額投資、そして暗号資産市場サイクルの新局面——最新の動向とポイントを徹底解説

【要約】
近年、暗号資産(仮想通貨)業界ではビットコイン(BTC)の先物・現物ETFの話題や、イーサリアム(ETH)のETF化、さらには香港でのETHを用いた投資移民制度の承認など、市場の可能性を大きく揺さぶるニュースが次々と浮上しています。Tetherによる動画共有プラットフォーム「Rumble」への総額7.75億ドルの大型投資も注目点です。これらの潮流は、いわゆる「次の市場サイクル」にどのような影響を及ぼすのか。個人投資家(いわゆる「散户」)の資金移動先や、投資スタイル「ダイヤモンドハンズ」の是非、さらにイーサリアムとSolanaにまつわる議論まで、多岐にわたるトピックを整理して解説します。

香港でイーサリアムを資産証明とする投資移民が承認

2025年2月、香港の執業会計士によって明かされた事例として、香港投資推広署(Invest Hong Kong)が3,000万香港ドル相当のイーサリアム(ETH)を「資産証明」として認める投資移民申請を承認したことが大きな話題となりました。

  • これまでにも香港では2024年10月にビットコイン(BTC)を資産として活用した投資移民が認められていますが、ETHでの成功事例は注目度がさらに高まっています。
  • 香港は規制面で暗号資産を比較的積極的に取り扱う傾向にあり、移民申請やビジネス展開においてもデジタル資産を活用できるようになってきました。

この動きは、暗号資産を「実際の価値」として評価する新たな一歩であり、香港がさらにクリプト関連投資を誘致しようとしている姿勢がうかがえます。

Tetherが7.75億ドルを投じたRumbleとは—米国事業拡大の思惑

USDTの発行元として知られるTetherが、動画共有プラットフォームRumbleへ約7.75億ドル(7.75億米ドル)の戦略的投資を実施しました。

  • Rumbleは言論の自由やクリエイターへの収益配分を強調したプラットフォームで、元米大統領ドナルド・トランプ氏や副大統領経験者を含む米政界とのかかわりも深いことから、いわゆる「トランプ銘柄」として市場に知られています。
  • Tetherはこれまでにも多角的な投資を進めてきましたが、米国での事業拡大や規制状況の見極めという観点から、今回のRumble投資が大きな意味を持つ可能性があります。
  • Rumble側もビットコインの購入や暗号資産ウォレット「Rumble Wallet」の導入など、積極的に加密(暗号)市場へシフトしており、クリエイターがBTCやUSDTで報酬を受け取る仕組みを整える計画を明かしています。

暗号資産市場サイクルの変化—機関投資家の参入と個人資金の移動

従来、暗号資産市場は「ビットコイン減半→BTC主導の上昇→アルトコインに波及→過熱・暴落」というサイクルを繰り返してきました。しかし、2024年から2025年にかけての動向を見ると、以下の点でこれまでとは異なる局面を迎えていると言われています。

  1. 機関投資家の大規模参入
    • 米国でのビットコイン現物ETF・イーサリアムETFなどの検討が進み、投資ファンドや上場企業の暗号資産導入が増加。
    • 相対的にBTCが資金を集め、アルト市場全体へ均等に波及する「全面高」が起こりにくい環境。
  2. 山寨コイン(新興トークン)やMemeコインの乱立と資金稀釈
    • プロジェクト数が格段に増え、特定のトークンだけが急騰した後に急落するなど、短期的な資金の回転が激化。
    • 個人投資家の多くが刺激的な新Memeコインや高リスク通貨を渡り歩くため、中長期的に腰を据えたトークンへ資金が留まりにくい。
  3. Pump.funをはじめとする新プラットフォームの台頭
    • Pump.funのように、短時間で新規トークンを立ち上げられる仕組みが活況を呈し、一部トークンが一瞬で爆上げする反面、急速に衰退する事例も増加。
    • このような超短期投機を繰り返す投資家が散見され、伝統的なアルトコインへの長期投資を避けるムードが一部で強まっています。

「ダイヤモンドハンズ」は報われるのか?市場が試す投資スタイル

以前は「HODL」(買って放置、ダイヤモンドハンズ)が成功体験として語られがちでしたが、最近の市場動向は一筋縄ではいかないようです。

  • BTCやソラナ(SOL)など、ごく一部の主要銘柄は長期保有で大きく恩恵を受けたケースがあります。
  • 一方で、新興アルトコインの多くは初動の大幅上昇が終わると数週間以内に価格が急落する例も目立ち、長期保有にはリスクが増しています。
  • Memeコインにおいては、短期間のうちに高騰と暴落を繰り返すパターンが顕著で、「絶妙なタイミングで利確しないと利益が吹き飛ぶ」ことも。
  • こうした状況から、「ダイヤモンドハンズ」派と「短期売買」派の投資戦略は大きく分岐しており、市場がその選択を迫っているといえます。

イーサリアムとSolanaはEOSの再来なのか?—技術、コミュニティ、持続力の比較

かつて「高スループット」「DPoS」を掲げたEOSは一時期脚光を浴びましたが、その後の中心開発企業Block.oneの動向などで失速し、現在は存在感が薄れています。
一部では「SolanaやイーサリアムもEOS化するのか?」という声がありましたが、実際には以下のような違いがあります。

  • イーサリアム(ETH)
    • PoWからPoSへの移行やLayer2(Rollup)など、保守的かつ段階的な拡張策を講じており、依然として最大規模の開発者コミュニティを維持。
    • DeFiやNFTなどの実需が明確で、SECをはじめとする米国規制当局の注目も高い。
  • Solana(SOL)
    • 「Proof of History」という独自の仕組みで高速トランザクションを実現。ただし、度重なるネットワーク障害など安定性が課題。
    • 元大統領トランプ氏の“暗号政策”追い風や米国投資家の資金流入で、市場評価は上昇傾向。開発チームやコミュニティも活発。
  • EOS
    • かつては高性能を武器にしたが、Block.oneがSECとの問題や開発姿勢の後退によりエコシステム全体が停滞。大口投資家の離脱やコミュニティの分散化が進み、勢いを失った。

両チェーンともEOSとは事情が異なると見られており、とりわけイーサリアムの成熟度は高いと考えられます。一方、Solanaは挑戦的な姿勢ゆえにトラブルも多く、そのリスクとリターンの評価は今後も注目が集まるでしょう。

規制と新興プロジェクトの動向—米国・中国・欧州の視点

  • 米国でのビットコインETF・イーサリアムETF
    • SEC(米国証券取引委員会)はBlackRock等の申請に対し、審査・決定を繰り返し延長中。足元ではETHの現物ETF関連オプション取引の判断を2025年4月まで先送りにするなど、依然として慎重姿勢を崩していません。
  • 州レベルでのビットコイン政策
    • フロリダ州やケンタッキー州など、ビットコイン投資法案や「州政府のBTC準備金」構想を掲げる動きがある一方、連邦レベルでの規制明確化は途上。
  • 中国・香港の事例
    • 北京市地方金融監督管理局の元副局長がビットコイン洗浄に関与した疑いで有罪判決を受けるなど、中国本土では取り締まりの厳しさが改めて報じられています。
    • 香港は前述のように暗号資産に対して柔軟な受け入れを示唆しており、アジアのハブとしての期待感が高まっています。
  • 新興プロジェクトの話題
    • ラッパーのカニエ・ウェスト氏が、200万ドルの報酬と引き換えに「RUG的なMemeコイン」を宣伝する依頼を断った話も象徴的です。巨額資金が動く一方で、不透明なトークンが急増している実態が浮き彫りになりました。
    • プロジェクト数が膨大になるなか、投資家やコミュニティはユースケースの有無やトークン経済設計など、より厳しい目を向け始めています。

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