【要約】
2025年の暗号資産市場では、米SECによる仮想通貨ETF審査の前進やBerachainエアドロをめぐる議論、イーサリアムのPectraアップグレードなど、重要トピックが次々と浮上しています。特にSECの新体制発足後、ソラナ(SOL)やライトコイン(LTC)、XRPといった現物ETF申請が急速に進み、Berachain空投では「少数のNFT所持者が多額を獲得し、大半のテストネット参加者には微々たる配布にとどまった」格差が話題を呼びました。また、イーサリアムはPectraアップグレードを目前に控え、各国・各州の規制・税制も変化の兆しが見られます。こうした動向を踏まえ、暗号資産市場は次なる局面へ向かいつつあるといえそうです。
米証券取引委員会(SEC)は、前委員長のギャリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏が退任して以降、暗号資産へのスタンスに変化を見せつつあります。特に仮想通貨ETFの申請審査において、これまでの厳格な姿勢がやや緩和されたとの見方が広がっています。
複数の運用会社がソラナ(SOL)、ライトコイン(LTC)、XRPの現物ETF申請を再提出し、そのうちGrayscaleやCanary CapitalなどのETF申請書(19b-4フォーム)は米SECに受理されました。通常、受理後は21日間のパブリックコメント期間が設定され、その後さらに延長や再審査を重ね、最終判断に最大240日を要するとされています。
こうしたETF申請の進展は、暗号資産市場全体の流動性拡大や投資家層の拡大を促す可能性が高く、今後も注視すべきトピックとなるでしょう。
“PoL”機構を備える新興チェーンBerachainは2月6日よりエアドロップ(空投)を実施しましたが、その配布バランスが物議を醸しています。最大の焦点は、NFT所持者が大口保有で数千万ドル相当のトークンを手にした一方で、テストネット参加者の多くはわずか60ドル相当のトークン配布にとどまった点です。
さらに、Berachainの初期投資家(VC)が保有するトークン約34%の行方にも注目が集まっています。ロックアップ期間が設定されてはいるものの、「未解放トークンをステーキングで運用し、報酬を獲得できるのでは」との懸念が浮上。結果として、テストネット参加者よりも早く実質的な利益を得られる構造に問題があるのではないかと批判される場面も見られました。
2月上旬、暗号資産市場では史上最大規模ともいわれる23億ドル超の大規模清算が起きたとの報道がありました。一部では100億ドル規模との未確認情報も出回り、リスクオフ傾向が強まったのも束の間、米国の地政学的リスクが一時的に緩和されたことなどを受け、ビットコイン価格は急反発しています。
専門家は「こうした乱高下は、依然として流動性に乏しい市場ならではの特徴」と述べており、今後もニュースヘッドライン主導のボラティリティが続く可能性があります。
イーサリアムの次期アップグレードPectraが、2月下旬からテストネットで稼働を始め、順調であれば4月にもメインネットで稼働する見通しです。
これが予定通り実装されれば、イーサリアムのスケーラビリティとユーザー体験がさらに向上し、DeFiやNFT、L2などのさらなる発展が期待されます。
米国内でも富ランクリン・テンプルトンが新たな仮想通貨インデックスETFの構想を明かすなど、大手金融機関がさらなる参入を狙っている点も見逃せません。
2月7日には、Grayscale(グレイスケール)関連とみられる複数のアドレスから、合計約3.6億ドル相当のビットコインが大量移動された形跡が確認されました。
Grayscaleはもともとビットコインやアルトコインの投資信託を運営する最大手であり、その動向は投資家心理に大きく作用する可能性があります。
米国SECのETF方針転換、Berachainエアドロをめぐる格差やNFTの活況、そしてイーサリアムのPectraアップグレードといった一連のニュースは、暗号資産市場がさらなる成熟過程に入っていることを示唆しています。一方で、市場には大規模な清算リスクやプロジェクト内部の配分不公平といった課題も存在します。
投資家にとっては、新たなETF承認や技術アップグレードが大きなチャンスとなる可能性がある一方、突発的な規制変更や市場流動性の問題には十分な注意を払う必要があるでしょう。今後も各国規制や主要プロジェクトの動向を注視しつつ、リスク管理を徹底することが求められます。