【要約】
米国ホワイトハウスの「暗号皇帝」David Sacksが国会議員と共同でデジタル資産推進を強調し、新たな市場構造と安定コイン法案の動きが加速しています。一方、取引所同士の摩擦や、大きな利益を生んだTRUMPコインを巡るメメコイン関連の活況、Binanceのホドラー向け空投など、多方面でニュースが続出。さらにイーサリアム財団のAya Miyaguchi氏の理念と、現在「弱気より難しい」ともいわれる複雑な相場事情も相まって、仮想通貨業界はかつてないほど多層的に動いています。本記事では、2月6日時点で確認された主な出来事を整理し、激動の暗号資産市場を俯瞰します。
米国「暗号皇帝」初のデジタル資産会見──ビットコイン備蓄を検討
ホワイトハウスの人工知能・暗号資産担当トップ、いわゆる「暗号皇帝」David Sacks氏は、米国議会の複数委員長と初のデジタル資産会見を行い、新しい市場構造法案と安定コイン法案への意欲を示しました。特に注目を集めたのが、ビットコインの準備資産化を評価している点です。まだ初期段階ではあるものの、国としてビットコインを保有する可能性に言及したことで、世界的に大きな波紋を呼んでいます。
SEC(米国証券取引委員会)の動向も変化がみられ、暗号資産に特化した執行チームを縮小し、一部のメンバーを他部門へ異動させたとの報道がありました。その一方で、加密資産の分類や登録制度を議論する特設サイトを立ち上げ、Hester Peirce委員が重点事項を提示。米政府全体が「厳格な締め付け」から「新たな推進策の模索」へと舵を切りつつあるとも受け取られています。
Huobi創始者・李林氏 vs. 孫宇晨氏──「3000万ドルの穴」は誤差?
Huobiの経営権譲渡をめぐり、創業者の李林氏と孫宇晨氏との間に「資金の穴」があるのではと議論が発生。李林氏は「資金窟窿(穴)は存在しない。交割(譲渡)の際の算定基準が食い違っていただけ」と主張し、杠杆取引(レバレッジ)の大暴落で生じた穴はすでに会社の収益で補填済みだと説明しています。孫宇晨氏側は香港の裁判所や第三者機関による精査を求めており、SNS上での一方的な情報発信ではなく法的判断に委ねる姿勢です。
取引所のトップ同士の応酬は業界に大きなインパクトを与えますが、李林氏のコメントによれば、一連の不一致はあくまでも交割後の会計処理の誤差だとされています。今後は法廷闘争へ発展する可能性もあり、仮想通貨取引所のリスク管理や内部統制の重要性を改めて浮き彫りにしています。
TRUMPコインの波に乗ったGMGN――2.8万人が1.6億ドルの利益
米国前大統領ドナルド・トランプ氏の関連銘柄「TRUMPコイン」のメメコイン相場が盛り上がり、データ分析と取引プラットフォームを提供する「GMGN」が脚光を浴びています。GMGNの公式情報によると、TRUMPコインで早期参入したユーザー約2.8万人が合計1.6億ドル以上の利益を出したとのこと。GMGNはメメコイン専門の分析やウォレット連動の自動取引機能を備え、新規トークンのローンチ初期に即座に参加できる点が大きな強みです。
GMGNは独自の「聡明なお金」アドレス追跡機能を持ち、話題のメメコインを迅速に探知。さらに分散型取引でのスリッページ対策にも注力しており、「土壇場の混雑時でも遅延しにくい」プラットフォームを目指しています。こうしたユーザー本位の設計が、過熱するメメコイン市場で注目を集める理由の一つです。
Binanceホドラー向けBerachainエアドロップ
Binanceが実施する「HODLer Airdrops」プログラムにおいて、新たにBerachain(BERA)が第7弾プロジェクトとして選ばれました。1月22日から26日までにBNBをSimple Earn商品に預けたユーザーを対象に、合計1000万BERAが空投されるというものです。
また、2月6日13:00(UTC)から複数の取引ペアが上場予定。時価総額の一部を空投として充当する動きは投資家の目を引きやすく、Binance側は取り扱いペアを拡充することで流動性の確保とユーザー獲得を狙っています。
イーサリアム財団・Aya Miyaguchi氏──「無限の庭」と教育者の視点
イーサリアム財団のエグゼクティブ・ディレクターであるAya Miyaguchi氏は、元高校教師という異色の経歴を持ちます。教育の現場で「生徒の主体性を育む」ことに注力してきた経験が、ブロックチェーンの「分散型・自律性」の思想に通じたといいます。
Miyaguchi氏が好んで語る「イーサリアムは無限の庭(インフィニット・ガーデン)」という比喩は、技術やコミュニティが常に成長し得る生態系であることを表します。一方で、財団運営の透明性不足に対する批判もあり、一部のコミュニティではリーダーシップ交代を求める声も。Vitalik Buterin氏は「現状の改革権限は自分が掌握している」としながらも、Miyaguchi氏のリーダーシップを高く評価しており、内部改革が進むか注目が集まります。
「イーサリアムが停滞?」「今回の強気相場は熊より難しい?」
一方、最新の市場論説では「イーサリアムは以前ほど勢いがなく、アルトコインシーズンも遠い」との見方が強まっています。規制強化や投資家の分散志向から、メメコインやビットコインに注目が集まり、イーサリアムが脇役になっている側面も否めません。
さらにLUNAやFTXの相次ぐ破綻によるトラウマが大きく、多くの参加者が「もう一度資産を溶かしたくない」と即時利益確定を繰り返す「金融的虚無主義」に陥りやすい状況です。長期的なホールドよりも短期取引やメメコインへの投機が活発化し、少しの下落ですぐに売りが出る不安定な市場構造が続きます。
とはいえ、米国規制環境の変化により、将来的にデジタル資産がより実用的な収益モデルを確立する可能性もゼロではありません。BTCやSOLを軸に一部資金を投機枠に回す「バーベル戦略」の提案もされており、個人投資家は引き続き基盤となる銘柄を見極める必要があるといえるでしょう。