【要約】
本記事では、2025年の仮想通貨市場のシナリオや主要予測、そして12月30日以降に施行されるEU規制などの最新動向を総合的に整理します。さらに、韓国市場における仮想通貨への資金シフト状況や、急激な価格上昇が目立つAI関連トークン「ai16z」の投資事例、次期米国大統領トランプ氏の「残りのビットコインは米国製造」発言の実情などを含め、年末から2025年に向けた注目ポイントを多角的に取り上げます。
1. 「年終シリーズ」:2025年に向けた市場4つのシナリオと注目の11予測
2024年に入ってからはビットコイン(BTC)のETF承認などを機に価格が歴史的高値を更新し、一時9万ドルまで到達しました。こうした文脈で2025年のビットコイン相場に関するシナリオが4つ提示されています。
1)BTCとアルトコインが全般的に上昇
- 2025年第一四半期にBTCが10万ドルを突破し、アルトコインも活況(可能性30-40%)
- 低迷したアルトコインを押し目で買う戦略
2)BTCが継続的に上昇する一方、上がるアルトコインは一部のみ
- 2024年の激しい値動きが再来するが、BTCはより強気(可能性50-60%)
- 一部の次世代アルトコインに資金が集まる
3)BTC上昇・アルトコイン大部分が下落
- BTC優位の展開、アルトはほぼ連れ安(可能性20-30%)
- 価格停滞アルトはすべて手放すリスク管理
4)BTC・アルトコインともに下落
- すべてがピークアウトし、全体的に市場が冷え込む(可能性10-20%)
さらに、山場となるのは米大統領選の影響やマクロ経済動向です。2025年までにBTCが20万ドルに到達するという強気見通しもあり、同時に有事には大量保有者(FTX関連や政府保有など)が売りに走るリスクも念頭に置く必要があります。
2. 「暗号通貨市场年终盘点」:25個の25年予言と23の注目銘柄
海外KOLのredphoneは、毎年「69 Theses」と題した総括を発表しており、今年はAIエージェントの急速な台頭やソラナ(Solana)の復活などを強調しています。予測の中でも特にAIと仮想通貨の融合が市場を大きく変え、2025年にはAI関連トークンの時価総額が5,000億ドル規模に拡大するという見方が注目されます。
その一環として、アプリやプロトコルの大部分がLLM(大規模言語モデル)を活用するようになり、チェーン上の取引やNFT発行さえもエージェントが主体となるシナリオが示唆されています。また、Web4(AIとDeFiなどが統合された概念)のほうがWeb3より話題化する可能性がある点も興味深いところです。
さらにredphoneは、23の推奨銘柄としてビットコインやAaveだけでなく、Arweave、Worldcoin、そして「GOAT」や「Cookie DAO」といったAIエージェント関連トークンを挙げています。
3. 「一周预告」:12月30日からの主要スケジュール
EU規制MiCA施行(12月30日)
EU暗号資産市場(MiCA)が12月30日に施行され、取引所にはKYCやAML対応強化が要求されます。Tether(USDT)などのステーブルコインが一部で上場廃止される動きも報じられていますが、実際には6~18カ月の移行期間があるため、混乱の度合いは今後の各国動向次第です。
ロシア一部地域でのマイニング全面禁止(2025年1月1日)
ロシア政府は2025年1月以降、10地域でビットコインなど暗号資産の採掘を禁止予定。冬季の電力逼迫対策も背景にあります。
FTXの弁済手続き(2025年1月3日)
破綻したFTXによる顧客への償還プロセスは、2025年1月3日から開始される見込みで、160億ドル相当の資金を返還予定。
4. 韓国株式市場は「ビットコイン」で下落したのか?
2024年後半から韓国総合株価指数(KSOPI)は大きく下落し、外資の売り越しに加え、個人投資家の資金が株式から暗号資産に流れた可能性が高いといわれています。実際、韓国国内取引所の11月日次取引額は前月比で約4倍に拡大。
他方で、韓国の主力産業である半導体や自動車、石油精製製品の輸出が伸び悩んでいるのも事実です。結果として、「韓国株式はビットコインに資金を奪われた」との見方が生まれましたが、実際には半導体競争力や輸出の停滞も大きな要因です。また国内の政局不安や尹錫悦大統領への弾劾案可決など、政治リスクが投資家心理を冷やしている一面もあります。
5. 「ai16z」巨鯨投資家の浮き沈み
AI関連プロジェクト「ai16z」トークンを大口投資家が約1,000万ドル分大量買いし、現在約1,658万ドルの含み益を得ているという報道があります。短期間でのリターンは166%に到達し、保有量は全トークン量の1.8%に相当。AIと仮想通貨の相乗効果に市場が注目している象徴的な事例です。
6. トランプ氏「残りのビットコインは米国製造」は現実的か
2025年に就任予定のアメリカ大統領トランプ氏が「残りのビットコインはすべてアメリカで生産する」との趣旨を発言したことが話題を呼びました。しかし専門家の多くは、「ビットコインは分散型ネットワークのため、国が一方的に制御するのは不可能」という見解で一致しています。
さらに、米国内のマイニング企業を優遇するために貿易政策を見直せば、マイニング設備コストが上昇し逆効果となるリスクも指摘されています。それでも、ビットコイン支持の姿勢を打ち出している点は暗号資産業界にとっては追い風とみられています。
7. 年末から2025年へ:注目キーワード
1)MiCA・EU旅行ルール
- ステーブルコインや取引所の厳格化対応が焦点
2)韓国の資金流入動向
- 株式から仮想通貨へのシフトが継続するかが見どころ
3)AIエージェントとトークン
- アプリやプロトコルの大規模自動化は2025年までにさらに加速
4)トランプ新政権下でのビットコイン政策
- 実効性をめぐる疑問と、支持表明が市場心理に与える影響
5)FTX返還・マクロ環境
- 破綻企業の資産放出と米国利下げ観測によるリスク許容度の変化
複合的視点でマーケットを捉える重要性
2025年にかけた市場シナリオは非常に多面的です。規制・マクロ経済・企業の動向や投資家心理が入り組み、韓国をはじめ世界各国で「暗号市場の年末ラウンドアップ」の動きが表面化しています。AIやDeFi、さらにはトランプ新政権の影響がどこまで波及するかを注視しつつ、シナリオごとに柔軟な投資戦略を組むことが重要と言えそうです。